水虫治療薬の通販体験記 (イトラコナゾール・ラミシール)

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水虫の治療

      2016/07/25

水虫の治療

水虫を治療するには、まずその病変の正確な診断が前提になります。この点では、足白癬の皮疹や検査法についての知識が重要ですし、同時に足白癬以外のさまざまな皮膚病を見分ける必要もあります。つまり、「足の皮膚病」は、単に足白癬の診断と治療だけにとどまらず、広く皮膚科医としての知識を問われる分野なのです。症状や診察、検査についてはすでにとりあげましたので、以下では足白癬を中心に水虫の治療についてみていくことにします。
診察と検査がすんで足白癬という診断が決まれば、いよいよ治療をはじめることになります。このときやっかいな点は、単に足の皮膚からカビが見つかったからといって、抗カビ剤をつけてすぐに治る病気ではないということです。足白癬は、皮膚について増えたカビと局所の条件とがあわさってできる病気です。このため、治療にはくすりと足のケアとの両輪が必要なのです。まず、足白癬の治療剤にはどんなものがあるか、みてみましょう。
 

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抗真菌剤とはなにか
足白癬の原因菌である白癬菌群は、すべてカビの仲間です。同じ微生物に属していても、ウイルス、リケッチア、細菌、カビではそれぞれからだの構造や代謝がちがいます。したがって、あとでのべるいくつかの特殊なくすりを除いて、これらすべてに効くくすりはあまりありません。
カビの仲間にたいして用いられるくすりを抗真菌剤といいます。近代医学がはじまって以来、さまざまなくすりが抗真菌剤として用いられてきました。
これらのなかには、カビにたいする作用の強いものと弱いもの(抗真菌活性が高いものと低いもの)、また数多くの種類のカビに効くものと一部のカビだけに強い抗真菌活性を示すもの(抗菌スペクトラムが広いものと狭いもの)まで、いろいろの個性をもつくすりがあります。
ひとくちに抗真菌剤といっても、多数の種類があります。そこで、まずどんな種類のカビに、あるいはどのような病気に効くかということが問題になります。皮膚だけをとっても病気をおこすカビは何種もあるので、治療にあたってはその病気の原因であるカビに効くくすりでないと困ります。そして、その効きめの強さは、個々のくすりでちがっています。
次に剤型の問題があります。抗真菌剤は、局所投与のもの(外用剤)と全身投与のもの(内服剤、注射剤)に大別されます。これは、対象とする患者さん、病気の種類、あるいはその症状にたいして使い分けられるように工夫されたものです。
このうち、外用剤の利点としては、
①必要とされる病変部にくすりを直接作用させることができる
②皮膚の病変部でより高い薬剤濃度をえることができ、しかも何回も、あるいは長時間作用させることができる
③吸収による血液中への移行は少なく、全身性の副作用が少ない
などがあります。

いっぽう欠点としては、
①くすりが皮膚の深部にとどきにくいため、皮膚表面の病変への適用にかぎられる
②病巣が広いと使用に時間や手間がかかるがあげられます。
皮膚科医はこのような利点や欠点を考えながら、それぞれの病状や患者さんの状態に応じて剤型を使い分けるのです。

外用抗真菌剤はラミシールクリーム(テルビナフィン)が最強

外用抗真菌剤とは、主剤としてのはたらきをもつ真菌物質を、種々の成分の組み合わせからなる基剤にふくませ、患部に直接塗ったり貼ったりして作用させることを目的とした製剤です。白癬をはじめ表在性真菌症(ひょうざいせいしんきんしょう)のほとんどの病型は、治療の第一選択薬は外用剤です。このため、現在もっとも広く使用されており、製剤の種類としてももっとも豊富に市販されています。

利点
●病変部に直接作用させることができる
●より高い薬剤濃度で何回も、長時間作用させることができる
●全身性の副作用が少ない

欠点
●皮膚表面の病変にかぎられる
●広い病巣には時間や手間がかかる外用抗真菌剤の利点と欠点

■主剤と基剤の特性によってさまざまな剤型がある

外用抗真菌剤の剤型は、主剤の抗菌スペクトラム、基剤にたいする主剤の溶解性、基剤の特性、使用目的など、さまざまな条件の組み合わせによって決められます。

基剤として抗真菌剤に利川されているものには、液剤(ゾリユーション、ローション)、軟亦リゲル、粉末およびスプレーなどがあり、それぞれの目的に合わせて使用されます。

液剤
一般に抗真菌剖は水に溶けにくいのでソリユーション(溶液)にするには種々の有機溶媒が用いられます。
有機溶媒のなかで、低分子のアルコール類は蛇燥性にすぐれ、とくに足などにたいする使用感が好まれます。しかし、いっぽうでは、湿ってやわらかくなった病変やびらん(ただれ)をもつ病変にたいしては刺激性が強いという難点があります。そのため、副作用の発現串は、クリームや軟膏にくらべていくぶん高くなりがちです。
その点、溶解剖をふくまない、主剤を懸濁させただけのローション剤は、有機溶媒による刺激性が少ない傾向があり、将来有望な基剤といえます。

軟膏剤
軟膏には、水に溶けない油性のものと、水で洗い落とせるクリーム状のものがあります。
前者、すなわちワセリンなどを主な成分としたものは、皮膚に塗った場合にべとつきがちで、使用感からいえば、後者すなわちクリーム基剤のほうがすぐれています。このため、最近ではクリーム基剤の外用抗真菌剤がほとんどを占めています。クリーム基剤の抗真菌剤は、足によくすりこむように塗ると目立たなくなり、またべとつきません。
特殊な軟膏剤として、ゲル剤があります。クリームと液体の中問といった感じの基剤ですが、主剤の浸透力や使用感にすぐれ、剌激性もわりあい少ないことから、足の指のあいだやこすれる部分の病変に好んで使用されています。

粉末剤およびスプレー
医薬品としては発売されていません。共同の施設などで利川されるシューズや衣類に、足白癬予防を目的として使用されることが多いようです。この剤型は使用法が簡単で、短時間ですむ利点があります。
患者さんの側からみた使いやすさ(コンプライアンスの向上)の点からも、今後検討されるべき剤型と思います。

■好みと使いよさで自分に合うものを選ぶ
以前は、足白癬の病像(たとえばふやけた趾間型か、乾燥した小水疱型かなど)によって、液剤と軟膏剤の使い分けがなされていました。現在はあまり厳密な使い分けは必要ではないと考えられているようですが、やはりそれなりに注意は必要です。液剤のなかでとくにアルコール溶液になっているものは病巣にたいしてやや刺激が強く、乾燥させる傾向があります。逆に軟膏剤は、使ったあとしばらく足がべとつくという印象があり、使い分けに患者さん個人の好みが入ってきます。しばらく使い心地を確かめたあと、もっとも使いやすいものを選ぶのがよいと思います。
液剤とクリーム剤て有効性の差はとくにありません。また、現在の新しい市販薬では、刺激性の差(つまりかぶれやすさの差)もみられません。
抗真菌剤にかぎらず、市販薬には大別して医師向けの製剤と、薬局の店頭で売られている製剤(OTC薬)があります。OTC薬は医師向けの製剤にくらべて主成分の濃度が少し低めに設定してあり、また、一般に抗ヒスタミン剤や抗アレタギー剤なども配合されています。つまりOTC薬のほうが効きめがおだやかで、かつ対象となる病気や症状を広めに選んであるのです。

外用抗真菌剤はとのように発展してきたか

表3外用抗真菌剤一覧表
薬剤名            適応

Ⅰ イミダゾール以前の薬剤
トルナフテート          白癬、痛風
ハロプロジン          白癬、痛風
フエニルヨード・ウンデシノエート    白癬、痛風
バリオチン           白癬、痛風
ピロールニトリン         白癬、痛風
シッカニン           白癬、痛風
ナイスタチン          カンジダ症
トリコマイシン          カンジダ症
ピマリシン           カンジダ症

Ⅱ イミダゾール発売後
イミダゾール(クロトリマゾール、ミコ
ナゾール、エコナゾール、イソコナゾー
ル、チオコナゾール、オキシコナゾール、 白癬、カンジダ症、痛風
クロコナゾール、スルコナゾール、ケト
コナゾール)

シクロピロクス・オラミン      白癬、カンジダ症、痛風
エキサラミド          白癬
トルシクレート          白癬

Ⅲ新しい薬剤
ビフオナゾール          白癬、カンジダ症、痛風
ケトコナゾール          白癬、カンジダ症、痛風
ネチコナゾール          白癬、カンジダ症、痛風
ラノコナゾール          白癬、カンジダ症、痛風
テルビナフィン          自画、カンジダ症、喬風
アモロルフィン          白癬、カンジダ症、葡風
ブテナフィン          皮膚糸状菌

表4最近発売された新しい外用抗真菌剤
一般名    濃度(%)剤型  主なMIC(mcg/ml)   適応
ネチコナゾール 1.0  クリーム 皮膚糸状菌0,04〜0,39  白癬、皮膚カンジダ症、
液    カンジダ 6,25〜25   痢風

ケトコナゾール 2.0  クリーム 皮膚糸状菌(平均)0.45〜1.0 白画、皮膚カンジダ症、
カンジダ(平均)2.0    痛風

ラノコナゾール 1.0  クリーム 皮膚糸状菌0.0024〜0,0116 白癬、皮膚カンジダ症、
液   カンジダ(平均〉1.87   痛風

テルビナフィン 1.0  クリーム 皮膚糸状菌0,001〜0,1  白癬、皮膚カンジダ症、
カンジダ 0,25〜128  痛風

アモロルフィン 0.5  クリーム 皮膚糸状菌0.0012〜0.08  白癬、皮膚カンジダ症、
カンジダ 0.01〜1.0   痛風

ブテナフィン  1.0  クリーム 皮膚糸状菌0,0015〜0.05  白癬、痛風

 

表3、4に、現在わが国で使われている医薬品としての抗真菌剤をあげておきます。商品名は略していますが、薬剤のラベルに成分が書いてありますので、照合してください。皮膚科医に足白癬のくすりをもらった場合、その内容や効能は表3、4のどれかにふくまれていると思います。せめて自分で使うくすりについては自分で調べ、その特徴を十分に知っていてほしいものです。
以下では、抗真菌剤の発展の流れをおおまかにたどりながら、くすりの内容などをみていきましょう。
■一般の抗菌剤と区別のなかった初期の抗真菌剤
抗真菌剤あるいは抗白癬菌剤は、以前から数多く市販されてきました。ただし1940年代、つまり第二次世界大戦の前後までは、抗真菌剤とそのほかの細菌などの微生物にたいするくすりとはとくに分かれていませんでした。つまり、一般に抗菌剤として使用されるものが、カビによる病気にも使用されていたのです。
当時、真菌による病気として知られていたものは、ほとんどが皮膚に寄生するものでした。皮下や内臓に病気をおこすカビについてはあまり知られておらす、また患者さんの数もわずかなものでした。

内臓の真菌症が一般に知られるようになったのは1960年代からというてよく、さらに医学上大きな問題となったのはごく最近、つまり臓器移植やエイズなどで極端に抵抗力の落ちた患者さんが増えだしてからです。
第二次大戦前には、カビによる病気は白癬菌によるものが圧倒的に多く、なかでもしらくも(頭部白癬)、水虫(足白癬)、たむし・ぜにたむし・いんきんたむし(体部白癬、陰股部白癬)などが主なものでした。

これらの皮膚病に広く使用されたのはヨードチンキです。このくすりは抗菌価はとくに高くありませんが、種々の微生物による病気に手軽に使える点が重宝がられたのです。年配の方は、このくすりを使った経験をおもちの方も多いと思います。
またこの時期にはサリチル酸も使用されています。やはり抗菌価は低いのですが、刺激が少なく、また白癬菌がいる皮膚の角層を溶かす作用もあるため、今日でも足白癬の大衆薬に配合されることがあります。
1940年代後半になって登場したのが、水銀をふくむ抗真菌剤です。これはむろん、その毒性のため、経・ロ剤(のみぐすり)には用いられませんでした。外用剤としては広い範囲の種類のカビに効き、抗真菌活性も相当なものがありましたが、やはり心性が問題となり、今日ではまったく使用されていません。

現在でもときに使われる1950年代以降の抗真菌剤
1950年代からは、さらに数種の抗真菌剤がラインナップに加わりました。この時期以後の薬剤は現在でもいくらか使川されていますので、表3にまとめておきます。
この年代の薬剤の多くは、狭い抗菌スペクトラムのものです。つまり白桁もしくは同じ表在性真菌症のカンジダ症など、ごくかぎられた病気にたいしてだけ有効だったわけです。
表3のⅠでは、トルナフテート、ハロプロジン、シッカニンなどは白癬にたいして有効、ナイスタチン、トリコマイシン、ピマリシンなどはカンジダ症にたいしてだけ使用されます。抗菌活性も、トルナフテートを除けば一般に低いものでした。しかし、実際の臨床での効きめは最近のくすりにくらべても目立つほどには悪くありません。薬剤の価格が安いことから、現在でもときに使用されます。
この時期に忘れてならないのが内服で使える抗白癬剤、グリセオフルビンの出現です。このくすりについては、あとで少しくわしくふれます。

一時代を築いたイミダゾール系抗真菌剤

1970年代の半ばになるとクロトリマゾール、ついでミコナゾールなどのイミダゾール系とよばれ
る外用抗真菌剤が市場にあらわれました。これらの
くすりは、白癬菌にたいする抗菌価がMIC 0.25〜1 mcg/ml とすぐれているうえに、抗菌スペクトラムも白癬菌からカンジダ、蛮風菌までと広く、副作用も少ないものでした。したがって、いちゃく外用抗真菌剤の胞流になり、以後、多数のイミダゾール系の外用抗真菌剤が市場に出るきっかけとなりました。まさに一時代をつくったくすりといえます。
表3のシクロピロクス・オラミンもほぼ同じような傾向のくすりです。

抗真菌価と抗菌スペクトラム

ここでくすりの性能を示す用語を紹介しておきます。
「抗真菌価」とは、そのくすりが対象となるカビをどの程度抑えるかというめやすです。
ふつう、そのカビの発育を抑えるもっとも低い濃度あるいはカビを殺すもっとも低い濃度の中のマイクログラム数で表すもので、mcg(マイクログラム)とは1グラムの百万分の】です。「抗菌スペクトラム」とは、そのくすりがどのような範囲の菌に効くかを表すものです。
たとえば、白癬菌だけに効く薬は「スペクトラムが狭い」、白癬菌にもカンジダほか多くの菌にも効くくすりは「スペクトラムが広い」などといいます。

この時期にはまた、エキサラミドやトルシクレートなど、白癬菌にだけ効くくすりも使用されていましたが、やはりなんといっても大きなシェアを占めたのは、イミダゾール系の薬剤でした。
これらの薬剤の使用感は、一部にやや、べとつくものがある以外だいたい満足すべきものでした。使用法としては、1日2回患部にすりこむように塗ることが指示されています。最近発売された新しい外用抗真菌剤にくらべると、安くて使いやすいため、いまでも広く使用されています。

■1日1回使用が主流になった新しい薬剤
1986年にビフオナゾールが発売されました。
このくすりは皮膚内での貯留性が高いことが最大の特徴で、1日1回の使用で従来のくすりと同じ効きめをもつことが示されています。この点は、患者さんがくすりを使用する手間をはぷくうえで非常な進歩です。これ以後の外用抗真菌剤の多くは、1日1回の使用をめざすようになっています。

ここ数年間に相次いで発売された外用抗真菌剤
(表3のⅢ)は、表4のように共通して高い殺菌的な抗菌活性と皮膚貯留性をもっています。しかし、抗、菌スペクトラムにかんしては、それ以前と同じく、二つの流れがみられます。
第一のグループは、イミダゾール系薬剤のように、白癬菌、カンジダ、癜風(でんぷう)菌などに広いスペクトラムを示すものです。イミダゾール系(ネチコナゾール)のほかに、テルビナフィン、アモロルフィン、ラノコナゾールなどがあります。
副作用の発現率はいずれも2%以下となっており、その内容も剌激怒や接触皮膚炎などで、重いものはなく、またほとんどの副作用は使用を中止すると容易に回復します。
もういっぽうのグループはブテナフィンに代表されるものです。このグループは白癬菌に特異的に高い抗菌活性を示しますが、カンジダにはほとんど効きめがありません。抗菌価は白癬菌にたいして0・007〜0・25であり、また副作用のでかたも低いものとなっています。
こうした新しい外用抗真菌剤は、皮膚への貯留性にもすぐれ、いずれも1日1回の使用で十分な効果が期待されることが示されています。

内服用抗真菌剤にはどんなものがあるか

新しい外用抗真菌剤が相次いで市販され、足白癬全般の治療成績が向上すると同時に、これまで外用剤だけでは効果がないとされていた角化型の足白癬や爪白癬(爪水虫)にもある程度効くことが確かめられつつあります。
こうした新しい外用削の治療成績が最終的にどのようになるかは今後の結果を待つとして、現在の段階では、内服用の抗真菌剤を必要とする表在性真菌症がまだいくつかあります。全身の皮膚に広い病巣ができた場合や、角化型足白癬、爪白癬(爪水虫)をふくむ爪真菌症全般がそうです。
白癬に使用する内服用抗真菌剤は、これまでグリセオフルビンというくすりだけでしたが、最近、新しいメンバーが加わりました。

30年以上使われているグリセオフルビン
発売以来30年をこす歴史をもつくすりですが、つい最近まで足白癬や爪白癬(爪水虫)に使える内服用の抗真菌剤はグリセオフルどンだけでした。
このくすりは、カビの一種がだす代謝産物から発見されたもので、白癬菌だけに効きます。成人では1日3〜4回、3〜4錠をのみます。のんだくすりは腸管から吸収され、皮膚の角層に運ばれて抗菌作用をあらわしますが、その作用は静菌的です。つまり、内服による角層中の薬剤濃度では、白癬菌を殺す力はなく、単に菌の発育をとめるだけなのです。
そのため菌が皮膚からいなくなるのには、爪や角層が次つぎに新しく生えかわり、菌のいる古い部分がなくなるのを待たなければなりません。
このため、皮膚の白梅でも四週間以上くすりをのみつづける必要があります。爪白癬(爪水虫)の場合、爪が生えかわるのに、手の爪で三か月以上、足の爪では六か月以上もかかることがあります。いずれにしろ、一度治療をはじめたら、右の期間以上にわたってくすりをのみつづける必要があります。
このくすりで爪白癬(爪水虫)を治療した場合、有効率は50%以上になりますが、いっぼう再発も多くみられます。理論的には、有効な薬剤濃度が角層内にあれば、時間さえ十分にかければ100パーセント治り、再発もないはずです。しかし、実際にはそうはなりません。現在のところその理由は明らかではありませんが、爪の周囲にはどこかに極端に生えかわりの
遅い部分があるのかもしれません。とくにお年寄りでは、爪の生えかわりが遅いことが知られています。
グリセオフルビンの腸管からの吸収があまりよくないことも、有効率を下げる理由のひとつになります。またこのくすりは脂溶性なので、油脂分の少ない食べものに偏りがちな人では、吸収も悪くなることが考えられます。
副作用としては、…日のもたれ、食欲不振などのほか、肝障害や日光にたいする過敏性の皮膚炎をおこすことがまれにあります。しかし、副作用全体としての頻度は低く、安全なくすりです。

内服抗真菌剤を必要とする表在性真菌症

内服抗真菌剤を必要とする表在性真菌症

最近の治療薬イトラコナゾールとフルコナゾール

最近、イトラコナゾールとフルコナゾールがあいついで白癬に使用されるようになりました。またテルビナフインものみぐすりとして市販される予定ですので、白癬治療薬の選択肢がいちだんと広がりました。表を性白癬のいくつかの病型にたいして、いずれも、外用剤やグリセオフルビンによる治療成績とほぼ同じ効果が得られています。
これらのくすりは、グリセオフルビンと異なり、白癬以外の多くの表在性真菌症にも効きます。つまり、ある患者さんの水虫の原因が足白癬ではなくてカンジダ症だった場合、グリセオフルビンでは効きめはありませんが、新しいタイプのくすりだと効果がある可能性がでてきます。
また、このところ増える傾向のある爪の真菌感染症(つまり爪真菌症)については、これまでほとんどが白癬菌性と考えられていましたが、最近では白癬菌以外のカビによるものがかなり多いことがわかってきました。こうした白癬菌以外の原因による爪真菌症の診断はなかなかむずかしいので、これまで見逃されていた可能性が高いのです。この場合、グリセオフルビンはまったく効きませんが、新しい薬剤は効くということになります。
治療期間は、足白癬の場合やはり一か月以上は必要のようですが、まだ再発率などにかんするデータはありません。爪白癬(爪水虫)については現在テスト中といったところです。
副作用としては胃腸の障害がありますが、それほど多くありません。むしろほかの病気でくすりをのんでいるときに、くすりの相互作用がおこって副作用がでやすくなることが報告されています。とくにたくさんのくすりをのんでいる患者さんは注意が必要です。このようなくすりとして、ターフェナジン、リフアンピシン、シクロスポリンなどがあります。
抗真菌剤を処方するときには、皮膚科医はとうぜん、患者さんがほかにどんな病気をもっているかをチェックし、そのうえでくすりを使うようにします。
必要なときには、患者さんの主治医に問い合わせたりもします。しかし、患者さん自身も、自分が現在どんな病気でどんなくすりをのんでいるかをくわしく知っておいてもらいたいものです。
このように、抗頁菌剤は次つぎに改良され、市場に出てきています。これらの新しいくすりの治療効果は、今後しだいに明らかになっていくものと思われます。

抗生物質の中でも水虫のお薬 (イトラコナゾール・ラミシールなど)は、爪白癬(爪水虫)(爪の水虫)に、よく効く

水虫(足白癬)の治療法と治療成績はどのようなものか

足白癬の治療は、原則として局所の皮膚の環境の改善(清潔と乾燥)と抗真菌剤の使用の二本の柱からなっています。

ところで、現在市販されている水虫薬はすべて抗真菌作用を売り物にしており、皮膚の状態を積極的に改善するはたらきはありません。それでは、このような新しい薬剤の開発によって、実際の治療成績はどのように向上してきたのでしょうか。足白癬の治療法とともにみてみましょう。

外用剤治療中心の趾間型と小水疱型趾間型と小水疱型にたいしては、主に外用抗真菌剤が使用されます。くすりによっては1日2〜3回の使用となっていますが、新しいものには1日1回使用のくすりがあります。

約四週間使った場合、症状が明らかによくなる患者さんの割合は75〜80%くらいてこのときの白癬菌の消失率もほぼ同じです。このかぎりでは効きめは、古いタイプの薬剤やクロトリマゾール以降のくすりと新しく市版されたくすりとのあいだで、あまり差はありません。
ちなみに、体幹部のたむしやいんきんたむしでは、約二週間後に改善率が90%近くなります。この点から、足の皮膚にはくすりが浸透しにくいか、あるいは皮膚の角層が厚くて菌の排出に時間がかかるなどの理由が考えられます。
古いタイプのくすりと新しいくすりのあいだで治療成績があまりかわらないことは、不思議に感じられるかもしれません。
しかし、さきにのべたように、水虫の症状は白癬菌を原因とする接触皮膚炎(かぶれ)型反応によっておこったものなのです。抗白癬剤は、単に白癬菌を殺すかその活動を仰えるだけて積極的に白癬菌を皮膚から取り除くものではありません。つまり、かぶれの原因物を皮膚の表面からなくしたり、かぶれの原因物にふれないようにするはたらきはありません。まして炎症を抑える作用はないか、あってもごく小さなものです。したがって、このように症状の消失が遅れるのもとうぜんでしょう。

足白癬の治療法と治療成績

足白癬の治療法と治療成績

新旧のくすりの症状の改善率にかわりのないことは、すでにクロトリマゾールあたりで、くすりが菌を抑えるはたらきが、炎症性反応が自然に治る速度を超えており、さらにピークに達したと考えることができます。
ただし、新しいくすりにはこれまで以上のすぐれた抗真菌活性が期待できます。より深い場所にいて、古い薬剤ではどうにもできなかったごく少量の白癬菌を仰えたり、殺したりすることが期待できるのです。その効果や以前のくすりとの差は、四週間で治療をうちきった場合の再発率や、十分に治療を行った場合の数年後の完治率に反映されるものと思います。
一般に足白癬の治療は四週間では不十分で、わずかに残った菌によって、かならずといっていいほど再発します。そこで皮膚科医の多くは、数か月以上、根気よく治療をつづけるようにすすめています。

内服剤を第一選択とする角化型
角化型足白癬にたいしては、古いタイプの外用抗真菌剤はまったく効きめがありませんでした。新しいくすりがいくぶん可能性があるとしても、まだ十分なデータはありません。やはり現在のところ、グリセオフルビンをはじめとする内服抗真菌剤が第一選択とされています。くすりをのむ期間は三か月以上です。この程度くすりをつづけると、80%以上の患者さんに症状の改善がみられます。
ただし、さきにのべたように、グリセオフルビンのはたらきは静菌的です。くすりをのみはじめても、表面の白癬菌はまだ生きています。このため、周囲に白癬菌をばらまかないように、同時に外用抗頁菌剤を使用します。

治療に一年以上の根気か必要な爪白癬(爪水虫)
爪白癬(爪水虫)については、このページですでにのべたように、一年以上くすりをのみつづけなくてはなりません。外用抗真菌剤を併用することも、角化型足白癬の治療と同じです。ただし、治療成績はあまりよくなく、患者さんの約50%にやっと満足できる程度の症状の改善がみられるくらいです。しかも、治療をやめると、かなりの割合で再発がみられます。爪白癬(爪水虫)については、新しい内服抗真菌剤イトラコナゾールに期待するところ大です。

新しい抗真菌剤の利点

新しいくすりの出現によって、それまでの治療法とくらべてどんな点がかわったか、あるいは今後どんなことが期待できるかをあげてみます。
■1日1回の使用で同じ効きめかある
高い抗菌活性と局所への貯留性をもったくすりの出現によって、1日1回の使用でそれまでとほぼ同じ治療効果が期待できるようになりました。これは、患者さんが指示どおり
にくすりを便ううえで、つまりコンブライアンスをあげるうえで大きな意義をもつと同時に、将来は二日に1回、あるいは数日に1回の治療が可能となることを示しています。
また、コンプライアンスの向上と高い殺菌価によって、くすりが短期間でも効くように改善されるとともに、長期間観察した場合の完治率の向上も期待できます。

外用剤による角化型白癬の治療が可能になる
これまで外用抗真菌剤はそれだけでは角化型足白癬には効きめがないとされていましたが、次のような方法で効果が期待できるようになりました。それは、密封包帯法や重層法
という方法です。これらの方法で現在すでによいデータがいくつか得られています。

爪白癬への効果が期待できる
同じく爪白癬にたいしても、密封包帯法や尿素軟膏との重層法、あるいは角質軟化剤の利用や物理的な方法による病変爪甲の除去との組み合わせなどによって、効果をあげるこ
とが考えられ、現在いくつかの方法についてデータが示されています。将釆は単に塗るだけで効くくすりもできる可能性かあります。

新しいくすりを使うには正確な診断か欠かせない
こうした利点があるいっぼう、新しいくすりには注意を要する点もあります。足の指のあいだの病変の治療かそうです。体幹部や大腿のつけ根などの白癬・カンジダ症は、臨床症状とカセイカリ(KOH)標本の所見によって比較的簡単に鑑別できますか、足の指のあいだの病変はもともと鑑別がむずかしいのに加えて、細菌の関与によって病像や経過に影響を与えることが示されています。
すでにのべたように、足の据のあいだか湿って皮膚の変化か生じた場合、かならずしも白癬菌の感染だけが原因ではありません。このような病変に外用抗真菌剤を使用した場合、細菌を抑えるような広い抗菌スペクトラムをもつくすりなら問題ありませんが、白癬菌だけに効く狭いスペクトラムのくすりでは、効きめがないか、かえって悪化することも考え
られます。つまり正確な診断と病像の把握がいっそう要求されるようになります。
抗菌価が高く、シャープなスペクトラムをもつくすりほど、この問題はますます重要となるでしょう。

足白癬(水虫)の治療上の注意とくすりの副作用

外用剤はどのように使うか
診断が決まったあと、皮膚科医から使用するくすりの指示があり、くすりがでます。ここでは、診断が決まってくすりがでたあとの実際の使いかたについて、注意すべき点をいくつかあげます。

使用回数をきちんと守る
現在の外用抗真菌剤には1日1回使用のものと、1日2回以上使用するものがあります。この点は、くすりの効きめに大きくかかわるので、正確に医師の指示を守るようにしてください。
1日2回使用のものは、入浴などで足を洗ったあとか就寝前につけるのがよいでしょう。塗ったあと、とくに靴下などをはいて寝る必要はなく、塗りっぱなしでかまいません。

■病変部のまわりにも十分にくすりを塗る
もっともたいせつなことは、くすりを塗る範囲です。目にみえる白癬の病巣の中に白癬菌がいるのはとうぜんですが、ふつう、菌はその範囲をこえて広がっています。そのため、目にみえる病変だけにくすりを塗っていたのでは、そのまわりの広い範囲に白癬菌が残ってしまうことになります。足白癬の治療では、実際の病巣よりも十分に広く、場合によっ
ては足の裏全体にもときどきくすりを塗るのがコツです。くすりを塗ったあと、包帯をまくなどの処置はとくに必要ありません。薬剤、とくにクリーム剤を使用したあと、パウダー類などをはたいておく必要もありません。
くすりを塗ると足がべとつくなどの理由で、治療をすぐにやめてしまう人がいます。現在の抗真菌外用剤には軟膏、液剤などいろいろの剤型があるので、使用感のもっともよいものを選ぶことも治療を長つづきさせるコツです。

足に処方されたくすりをぽかの病変に使用してはいけない
いうまでもなく、医師からもらったくすりは、その患者さんの現在の症状に合わせたものです。ときどき経験することですが、患者さんによっては、足に処方されたくすりを、たまたま同時にできた皮膚病だということで、からだのほかの部分の皮膚病にも使りたり、治療をやめたあと、残っていたくすりをほかの皮膚病、はなはだしいときにはほかの人の皮膚病に使ったりする人がいます。これは絶対にやめてください。

一週間で症状かよくならないときは、くすりが合っていない適切なくすりを使えば、かゆみをはじめとする足白癬の不快な症状は数日で軽くなっていくのがふつうです。
一週間たって’り症状が軽くならず、逆にかゆみが強くなるようなときには、くすりがいまひとつ病変に合っていないと考えられます。つまり、そのくすりにふくまれる抗真菌剤がで原因である白癬菌にたいして抗菌活性を示さない、逆にいうと原因菌がそのくすりに耐性をもっていることになります。とうぜん、異なった種類の抗良開剤をふくむくすりに切りかえなくてはなりません。

かぶれの場合、原因を調べてくすりをかえる

症状が軽くならず、かえってかゆみが増す場合には、使用したくすりにたいしてかぶれ(接触皮膚炎)をおこしている可能性もあります。すぐに医師に相談し、より適・切なくすりにかえてもらう必要があります。かぶれについてはすでにくわしくのべましたが、使用Lているくすりでかぶれた場合、薬剤にふくまれている抗真菌削(主剤)によるかぶれか、基
剤によるかぶれかを見分けることがたいせつです。かぶれの原因が主剤にある場合、いくつかの系統に分かれる抗真菌剤の主剤のうち同じ系統のくすりを再度使うと、患者さんは同じようにかぶれをおこす可能性があります。したがって、ある薬剤でかぶれをおこした場合、とうぜんちがった抗良面倒で治療をつづけることになりますが、そのときにはちが
う系統の主剤をふくむくすりを選ぶことになります。軟膏の基剤に原因がある場合も、話はほぼ同じです。この場合、軟膏やクリーム剤にふくまれる界面活性剤などの配合剤は、多くの抗真菌剤で共通です。そこで、基剤がかぶれの原因とわかれば、原因となった配合剤をふくまない製剤を選ぶことになります。
かぶれの原因がそのくすりのどの成分によるものかを調べるためには、貼布試験(ちょうふしけん=パッチテスト)が行われます。これは、化粧品のかぶれの検査でもよく行われるので、ご存じの方も多いで

手短にいえば、背中や上腕などにかぶれをおこしたと思われる薬剤を少しつけ、上から絆創膏などおおって固定し、四八時間後に炎症がおきているかどうかをみる検査法です。検査する薬剤を皮膚に効率よく作用させるために、貼布試験用の絆創膏類が何種類か市販されています。
パッチテストで問題なのは、疑わしい抗真菌剤が見つかっても、そのくすりの主剤と基剤が単独の成分として手に入りにくいことです。そこで製薬メーカーの協力が必麦ですが、そのような事態にそなえて主剤と基剤の各成分をストックしておくことは実際上困難ですし、万一かぶれがおきた場合でも、その薬剤のどの成分でかぶれたかを確定できた例はご
く少数です。今後の課題のひとつといえるでしょう。

外用剤の特殊な使用法(密封包帯法と重層法)
これまでのべてきたくすりの使いかたは、単純塗擦法といって、くすりを単に病巣に塗りつける方法です。場合によっては、このほかに重層法や密封包帯法(ODT法)などの特殊な使用法があり、単純塗擦法ではあまり治療効果のあがらない角化型足白癬や爪白癬(爪水虫)に用いられています。
重層法というのは、単純塗擦したくすりの上に、くすりの皮膚への浸透性を高めるようなほかの軟膏類を塗ったり貼ったりする方法です。重ねて塗るものとして、一般には尿素をふくむ軟膏類が用いられています。
尿素軟膏には皮膚の角層水分量を増やすはたらきがあり、皮膚の障壁を壊してくすりの浸通性を高めます。主に角化型足白癬に用います。ただし、尿素軟膏を厚めに塗るため、軟膏の上から靴下などでべとつきを抑える必要があり、夜間だけ使用するなどの工夫も必要です。
ODT法は、抗真菌剤を厚めに塗り、その上をうすいビニールフイルムなどでおおって、周囲を絆創膏で固定する方法です。重層法よりさらに強い角層
の軟化と湿潤化がえられるため、角質増殖型足白癬や爪白癬にも用いられます。
さらに、重層法とODT法を組み合わせて使う方法も可能ですが、それでも爪白癬(爪水虫)にたいしては、ODT法で処置したあと、やわらかくなった爪をナイフなどで削る必要があるなど、治療効果とからめて現在評価が分かれるところです。

外用抗真菌剤と外用消炎剤を組み合わせる治療

また症状によっては、外用抗真菌剤と種々の外用消炎剤(炎症を抑えるくすり)を組み合わせる治療法も考えられます。抗真菌剤の効果は、あくまでカビの発育を抑えたり殺したりすることにあります。
実際に皮膚の症状として問題になるかゆみや炎症を直接に抑える力はないか、あってもごく弱いものです。そこで、原因であるカビの治療は抗真菌剤で行い、いっぽう症状には直接、消炎剤で対処しようという方法です。一見、非常に望ましい方法のようですが、問題となるのは、このような炎症が一面では病変部から菌を追いだす役目も果たしていることで
す。このため、炎症を抑えると不快な症状はとれますが、逆に菌が増えて、結局は皮疹がひどくなることもあります。
いずれにしても、これらは特殊な病型にたいする特殊な治療です。皮膚科医の指示と指導に従って正しく行ってください。

内服剤はどのように使うか
内服薬としては、白癬菌に効く唯一のくすりとして30年以上も使いつづけられているグリセオフルビン、最近市販されたイトラコナノール、これまで主に深在性真菌症に用いられ、現在、皮膚科疾患にたいして試験中であるフルコナゾール、試験期間が終わって近く市販が予定されているテルビナフィンなどがあります。
グリセオフルビンとそのほかのくすりでは、1日の服用回数が異なり、また、のちほどお話するように、副作用の種類なども異なります。よく医師の指示に従って使用するとともに、いったん治療をはじめたら中途半端でやめないようにすることがだいじです。とくにグリセオフルビンの場合、一度はじめた治療を途中でやめると、それまでの治療がすべて
むだになることもあります。
新しい薬剤では、使用するくすりの総量を減らし、同時に副作用の発現を少なくする目的で、間欠投与法なども検討されています。

足白癬治療のポイントはなにか?根治のための四つのポイント
足白癬は治りにくい病気として知られていますが、その気になれば根治できると思います。そのためには、
①規則的に、十分な量の抗真菌剤を使って治療する
②菌が分布している範囲をすべてカバーする十分な広さにくすりを使用する
③病変部の菌が死滅してしまうまで、十分な期間治療をつづける(この治療期間については、またふれます)
④これらと同時に、足白癬の発病や悪化の誘因となった、足の高温多湿の環境をなるべく避けるようにする
などのすべてを行うことです。
しかし、①は現在の治療薬でカバーされるとしても、②と③は具体的にどのくらいかわかりません。
とくに、治療をはじめて約四週間くらいで皮膚の症状がほとんどなくなったあと、さらに数週〜数か月もまじめにくすりをつづけなければならないとすれば、たいへんです。よほどきちょうめんな人でないと耐えられないでしょう。

■治療の目標は本人のやる気や条件によってさまざま
今後、足の白癬所の生態が十分にわかり、薬剤の殺菌価が飛躍的に向上すれば、足白癬を根治するのももっと容易になるでしょう。しかし、それまでのあいだ、わたくしは患者さんを次のようなグループに分けてそれぞれの治療法を考えています。
きちょうめんな人の場合まず、もっともきちょうめんな人の場合です。こうした患者さんには、さきにのべたような治療をしてもらいます。期間は六か月以上です。これまでの薬剤を使って治療したデータでは、これでもまだ根治の保証はありません。しかし、ここでいちおう治療をやめて、その後数年経過をみます。現在いく人かの患者さんで調査中ですので、数年後には結果を報告できると思います。
爪の白癬をもつ人はグリセオフルビン内服の場合、治療期間は二年以上と考えています。それでもほかの足白癬にくらべて、成績はよくありません。
あまり根気のない人の場合そこまでの根気のない患者さんでは、最初の数か月(あるいは数週)はきちんと治療をつづけてもらいます。症状がなくなるころには根気もなくなっていますので、あとは思い出したとき、ときどき広めに抗真菌剤を塗るようにします。むろん足の「清潔と乾燥」には十分に心がけます。現在、これでかなりの患者さんが足白癬の悩みから解放されています。
この場合、爪白癬(爪水虫)があっても治療は同じです。
このような治療では、もちろん白癬菌はまだいます。しかし、要は水虫によって生活に支障がなければよいわけです。その観点からは、こうした治療で十分です。これは決して足白癬の治療から逃げているのではありません。
ほかの病気などで白癬の治療が十分できない人の場合ほかの病気などで、どうしても納得のいく治療のできない人がたくさんいます。またくすりがのめないため、角化型の足白癬や爪白癬(爪水虫)などの内服薬が使えない患者さんもいます。このような場合、「清潔と乾燥」に加えて、できるだけ外用剤を使うという程度で満足しなければなりません。
水虫が本人の生活の支障にならないことと、周囲への感染源にならないことだけを考えてもらうのです。とくに特定の施設や共同生活などで、これはたいせつなことです。

抗真菌剤にはどんな副作用かあるか

どんなくすりにもいえることですが、抗真菌剤にもカビにたいするくすりとしての作用と同時に、人体にたいしてもいくつかの作用、すなわち副作用があります。とくに問題となるのは、それが人体に悪い影響をあたえたり、ほかのくすりの治療効果に影響をあたえる場合です。
抗真菌剤の場合、具体的にはどんな副作用があるのでしょうか。

外用剤による刺激感、炎症、かぶれ
まず外用剤については、使用した場合の刺激感、炎症の増加、かぶれなどがあります。
かぶれについてはこれまでに何度ものべましたので、ここでは省きますが、外用抗真菌剤のかぶれと紙一重の関係にあるのが使用感です。
外用抗真菌剤のうちとくに液剤は、薬剤の溶解性や使用感のよさ、使いやすさなどの点からアルコール類を配合しています。このアルコール類は、皮膚に爽快感をあたえると同時に、一面では刺激怒もあります。足白癬をふくめて、水虫の病変部にはただれやひび割れをともないがちです。このような部分には表皮という防波堤がないので薬剤が直接真皮につき、痛みをともないやすくなります。
外用剤を患部につけたとき、軽くしみる程度で、刺激がすぐに消えるようなら問題はありません。しかし、かゆみがでるようであれば、かぶれのはじまりも考えなければなりません。医師と十分に相談してください。
外用剤をふつうに使用しているかぎり、皮膚から吸収されて全身的な副作用をおこす可能性はまずありません。しかし、いずれにしても、外用剤を使っていていつもとちがう症状がでたら、自分でくすりをかえたりしないで、すぐに医師に話すようにしてください。

内服剤や注射剤による消化器症状
のみぐすりを使用する場合、とうぜん、外用剤よりも副作用に注意する必要があります。くすりが消化管から血液中に移行するため、あとで副作用に気づいても、いったん体内に入ったくすりは取り出せないからです。
内服抗真菌剤全般では、くすりをのんだあとにおこる胃部の不快感や痛み、食欲不振などが問題になります。これらは、くすりをつづけているうちに自然に治るもの、健胃散などの胃のくすりでよくなるものなどいろいろな段階がありますが、とくに問題になるのは胃炎や胃のびらん(ただれ)、潰瘍の原因となる場合です。もっともわたくしの経験では、これまでに内服抗真菌剤でこのような重い副作用がでた例はありません。したがって、比較的安全なくすりとはいえますが、新しいくすりについては今後十分に観察をつづける必要があると思っています。
胃の症状以外に、ときには薬疹とよばれる皮膚炎や、日光にたいして弱くなるなどの副作用も報告されています。また、肝機能の異常なども注目されているところです。それぞれ早く見つけて適切な処置をとる必要があるので、疑わしい場今は主治医に「いつから」「どのような症状があるか」を話すようにしてください。
病気の治療中になんらかの突発的な症状がでた場合、使用していたくすりと関係があるかどうか調べることがたいせつです。その際、くすりの投与期間と症状をくわしくつき合わせるのが、もっとも基本的なことになります。
この意味から、患者さんからの情報は非常に重要です。患者さんは、くすりについても医師まかせにせず、できれば名前くらいはメモしておいてほしいものです。日本ではいまだに、処方されたくすりの名前や作用、副作用などを医師に聞くのに抵抗があるようですが、自分にかかわることですから、遠盧なくたずねてください。名前も内容もわからないままくすりをのむのはかえっておかしい、という感覚が正しいと思います。そして、医師から処方されたくすりを使うかどうかの最終判断と決定権は患者さん側にあるのです。
くすりはあくまで、からだにとって異物です。役立つ点と同時に、かならず有害な而もあると考えてよいでしょう。くすりを使う場合、副作用は避けて通れませんし、平均すると何パーセントかの患者さんには副作用があらわれます。したがって、医師も副作用については十分に注意を払っていますし、副作用があらわれたときの処置も考えています。
要は、そのくすりを使うことによって得られる利益と、副作用などによる不利益を天秤にかけて、そのうえで十分な注意を払ってくすりを使うことです。副作用のマイナス面だけを不必要に恐れ、せっかくの有効なくすりを使わないというのはもったいない話です。

水虫はなぜ治らないのか

「水虫は治らない」という印象があります。なぜ、そうなのか考えてみましょう。
いうまでもなく、水虫は病気のひとつですから、なんらかの原因によってできたものと考えるべきです。とすれば、的確な診断を行い、適切に治療すれば治る可能性があるとは容易に考えられます。
これは一面で正しく、一面では誤っています。つまり、水虫には適切な治療で治る部分と、それでも治らない部分があるのです。ひとつずつはっきりさせていきましょう。
まず、現在の水虫の治療薬はどんなレベルに達しているのでしょうか。足白癬にかぎれば、すでに十分な治療効果をもっているといえます。
これまでにお話ししたように、最近の抗真菌剤は、きわめてよく効き、白癬菌にたいして試験管内では0.001mcg/mlの濃度で菌の発育を抑えることができます。これは簡単にいえば、家庭用のふろおけに耳かきにのる程度の角砂糖を溶かしたくらいの濃度です。実際に抗真菌剤として市販されているく
すりは、主剤の濃度が1%ほどですから、ずいぶんと高い濃度になります。治療ではこんなに強いくすりを患部に直接塗るのですから、その場所はもちろん、少し深いところにも十分な濃度のくすりがとどくと期待されますし、実験的にもそれを示すデータもあります。
ただし、厚くて硬い爪甲(そうこう)や、足の裏の角層がきわめて厚いところでは、あるいは濃度がナ分にならないところがあるのかもしれません。角化型足白癬や爪白癬にたいしては、外用剤だけではなかなか治療効果があがらないという事実があるからです。すると、その薬剤の使いかたになにか誤りがあるのではないか、ということになります。
また、足の指のあいだの皮膚はそんなに厚くありません。そこで、少なくとも趾間型足白癬は、現在のくすりで十分に治りで再発はないはずです。しかし、実際には「水虫は治らないもの」という考えは根強いものがあります。
そこで最初にもどって、水虫とはなにかを考えながら、水虫が治らない理由をみていきまし

■カビが原因でなく、治療も不適切なとき
まず病変がカビによる感染ではなく、適切な治療が行われていない場合です。さきに、水虫とは足の症状によってつけられた病名であり、そのなかには白癬菌だけの感染による病変のほかに、それとは無関係なさまざまな皮膚病が混じりあっている可能性があると話しました。つまり水虫にはたくさんの原因があり、それらが単独かまたは組み合わされてできた病気だと考える、べきなのです。するととうぜん、治療らその原因に応じて、あるいは症状に応じて、いくつかの治療法を組み合わせて対応すべきであるということになります。
たとえば、足の病変が、かぶれやなんらかの細菌が異常に増えたためのものとします。とうぜん治療にさきだって、その病気の原因を十分に調べ、その原因に応じた的確な治療法が決められなければなりません。しかし病状の観察だけでは、こうした病気を真の足白癬から区別するのは容易ではありません。しかもやっかいなことに、かぶれと細菌の感染、さらに足白癬では治療法が正反対といってよいほどちがうのです。
このように水虫とはじつにやっかいな病気です。素人判断でいいかげんな治療を行っていれば、
治りも悪いだろうということは容易に想像できます。
これが、すぐれた抗真菌剤がいくらできても、いわゆる水虫は思ったほど治らないと思われている原因のひとつです。そして、足白癬と区別すべき病気はかなり多く、これらのすべてについて同じことがあてはまります。

白癬菌以外のカビが原因のとき
次に、足の病変の原因菌が白癬菌以外のカビであったときです。
この場合、カンジダというカビがもっともよくみられます。症状は趾間型の足白癬によく似ています。カセイカリ標本でもカビがみられるので、検査上もカンジダはよく足白癬とまちがわれます。わたくしの経験からも、足の指のあいだに寄生したカンジダと白癬菌をカセイカリ標本だけで見分けるのは容易ではありません。どうしても、培養の助けをかりる必要が多くなります。
しかし、培養でカビの特徴がわかるようになるまでには二週間近くかかります。したがって、実際の治療は、カセイカリ標本でカビが見つかった時点からはじめられます。この場合、使用する抗真菌剤が白癬菌とカンジダの双方に効くものであればとくに問題はありませんが、どちらか一方だけに効くくすりを選んだ場合、とうぜんくすりが効かない吋能性
があり、逆に症状の悪化がみられることさえあります。

適切な治療でも、早くやめすぎたとき
第三に、足白癬にたいして迪切な治療が行われても、途中で治療をやめたときです。
足白癬に適切な治療薬が選ばれ、適切な方法で治療が行われたとすれば、数日で消燈効果があらわれ、多くの場合、3〜4週間後には病巣に白癬菌はみられなくなり、症状もよくなります。しかし、ここで治療もやめてしまったらどうでしょうか。ほとんどの例で、問もなく再発することが知られています。
つまり治療は適切だったにもかかわらず、足白癬は治らない(完治しない)ことになります。
現在、ほとんどの患者さんが、はじめは熱心に治療しても、数週間たって症状が軽くなってくると治療をおこたり再発をくり返している状態にあります。
それでは、確実に治すには、どれくらい治療をつづければよいのでしょうか。じつは、これがはっきりしないのです。患者さんの側からいえば、逆にはっきりしないから、途中で治療をやめてしまうのかもしれません。しかし、少なくとも数週間の治療では、菌が死に絶えることはないのです。
」常在菌に近い白癬菌の性格か再発をまねくわたくしが勤務している長崎市立市民病院皮膚科外米では、真菌症の患者さんすべてについて培養による原因菌の確認を行うようにしています。そのデータでは、足白癬の原因菌は紅色菌と趾間菌がおのおの約50%ずつで、ほとんどを占めています。
また、いったん治ったとみえた足白癬が再発した場合、培養してみると、ほとんどの場合、前に分離された菌と同じ種類の菌が見つかります。これは、以前に病変をおこした菌がどこかにひそんでいて、時期をみてふたたび増えたものと考えることができます。
それでは、白癬菌はどこに隠れていたのでしょうか。ひとつは、分厚い角層の深部です。角層は硬く強いケラチンというたんぱく質でできており、くすりが深部までなかなかしみこみません。足白癬が治ったとみえても、なお角層の中に少数の白癬菌が生きのびているものと考えられます。とくに爪にまで白癬がおよんだ場合、硬くて厚い爪は白癬菌のよい保存庫となることでしょう。
いまひとつは、病変のまわりの一見正常にみえる皮膚に菌がいる場合です。足白癬にかぎらず、白癬病巣のまわりには、白癬菌がいても症状がまだあらわれていない部分があります。
白癬の病変は、白癬菌が宿主側(ヒト)に障害をあたえるほど増えたとき、宿主側からの免疫学的な排除反応としてでてきます。そして、ヒトに馴れた菌ほど、その反応はおこりにくいのです。この点についてはすでにくわしくのべました。
ところで、一部の白癬菌、とくに紅色菌などは、好人性(こうじんせい)といわれるほどヒトによく馴れた菌です。このような菌にたいしては、宿主側の排除反応が非常におこりにくいのです。
このような現象は、いわゆる常在菌の性格に非常に近いものです。そして治療のむずかしさも、カンジダや表皮ぶどう球菌などのヒトの常在菌をそれぞれのすみかである陰部や皮表から根絶するのがむずかしいこととまったく同じです。
長い期間かけてふれ合ってきたヒトと一部の白癬菌のあいだには、すでにこの常在菌に近い関係が成立しています。人間が靴をはきはじめたために、足の温度と湿度が必要以上に高くなり、常在菌に近い白癬菌が過剰に繁殖する環境ができあがりました。足白癬は、それにたいして宿主側が排除の反応をおこしている状態であり、つまりは人間がつくりだした病的な状態ということができます。局所の条件を改善し抗真菌剤を使えば病変はなくなりますが、白癬菌はもとの安定した常在菌の性格にもどって生きのび、また局所の温度と湿度が高くなるのを待ってふたたび増え、目にみえる白癬病変を再発させます。現代病、あるいは文明病としての水虫と足白術の意味がここにあります。

水虫のケアと予防

水虫とは、足にできる皮膚病を広くふくむ病名でとうぜん、そのなかには足白癬もふくまれています。この章では、このような水虫の患者さんはどんな点に注意して生活したらよいか、まず一般的な注意についてのべ、次に積極的に足白癬を予防する方法と、とくに治療のむずかしい高齢者の足白癬の治療の注意についてのべたいと思います。

一般的な水虫のケアはどうするか
外米の患者さんを診ていると、足の指のあいだがふやけたり、ただれたりしているにもかかわらず、白癬菌が見つからない患者さんがけっこうたくさんいます。これは、複合病変としての趾間型白慨(しかんがたはくせん)つまり純粋の足白癬ではない水虫です。このような患者さんは、会社や工場などで1日中靴をはいていなければならない人に多くみられるようです。
このような患者さんがまず注意することは、足(とくに指のあいだ)をなるべく乾かすことです。このためには、次のようなことに注意してください。
①靴はなるべく風通しのよい素材とデザインのものを選ぶこの点、足先のあいたサンダルは理想的といえます。
②同じように、靴下もなるべくうすくノ風通しのよいものを選ぶ
③1日のうちなるべく長い時間、履き物なしですごすように心がける。また、意識して足の指のあいだを広げるようにする
④足全体を涼しいところにおくように心がける
⑤足を清潔に保つ
石けんは市販の、ごくふつうのものでけっこうです。洗ったあとはそのままにせず、よく乾かすようにしてください。
特別な消毒剤は必要ありません。かえって、ただれた部位に種々のくすりをつけた場合、かぶれやすいのです。また、同じかぶれでも、よりやっかいな、アレルギー性のかぶれをおこしやすくなります。
防臭剤や制汗剤などの製品にも同じことがいえます。こうした製品は局所の細菌を抑える作用をもつくすりなどが配合されており、やはりかぶれの原因となることがあります。使うときには、はじめは少量で短時間だけ試し、界常がないことを確かめるようにしてください。
水虫全般についてのケアは、これまでのべたことにつきます。しかし、実際には個々の場合についてきめ細かい対策が必要です。足白癬を中心にそれらを考えてみましょう。

足白癬の予防はどうするか
ここでは、一般的な水虫ではなく、足の白癬と、これに密接な関係をもつ足の皮膚の変化にかぎって話をすすめます。

足白癬になりやすい条件と予防の条件
まず、どんな人が足白癬になりやすいのでしょうか。さきにも書いたように、白癬の原因となるカビはヒトをとりまく環境のなかにいて、偶然の機会にヒトの皮膚につき、そこで好適な環境を得て増えると考えられます。そうなると、
①菌がたくさんいるような環境のなかで暮らしている入
②そのなかて菌が足の皮膚につきやすい人
③または、ついた菌がすぐに落ちてしまわない人
④足の皮膚に、カビの発育に好適な環境ができやすい人
⑤増えはじめた菌が、そのまま増えつづけることができてしまう入などの条件をもつ人が足白癬になりやすいと考えられます。
そこで、足白癬を予防するには、
①環境のなかで感染源となる白癬菌をできるだけ減らす
②白癬菌がなるべくほかの人の皮膚について広がらないように注意する
③皮膚についた白癬菌をなるべく早く落としてしまう。
④皮膚の上に残った白癬菌がなるべく増殖しないようにする
などのことが求められています。

患者さんの治療と、床やカーペットの掃除を励行する
白癬菌をできるだけ減らす点については、まず家庭や共同生活の場での注意が考えられます。家庭や集団のなかに足白癬をはじめとする白癬病巣をもった人がいると、菌が病巣からこぼれ落ち、しばらくのあいだは生きのびています。ですから、まず患者さん一人ひとりが白癬の治療を十分に行い、生きた白癬菌を環境のなかにばらまかないようにすることがたいせつです。
また、いったん患者さんの皮膚からこぼれた白癬菌については、ほかの新しい人(宿主)につく機会を減らすように、床やカーペットをよく掃除することなどが予防策として考えられます。この場合も、特別な滅菌処置はいりません。要は掃除をきちんとし、ごみをためないようにすればよいと思います。
白癬病巣から原因菌が周囲にこぽれ落ちることにかんしては、たくさんのデータがあります。共同の場となる体育館などの床、プールの縁やシャワー室、あるいは一般の家庭の床やマット、カーペット、たたみなどに落ちている小さなゴミやほこりを集めて菌を培養すると、白癬菌が見つかることが証明されています。
家庭環境についていえば、水虫の患者さんのいる家庭で、高い頻度で菌が見つかっています。しかもこの菌は、患者さんが白癬の治療をすれば減っていくことも確かめられています。
また、もっと直接的な方法として、はいた直後のスリッパや靴下に白癬菌がついていることも同じように証明できます。次に、こぼれ落ちた菌はどれくらい生きていて、ほかの人にどのくらいの感染能力があるかという点です。
生きている期間がどれくらいかということは、なかなかむずかしい問題です。まず、その環境の湿度が高いか低いか、温度はどうかなどに加えて、菌の種類も影響するからです。いくつかの実験で、ふつうの居住環境では、少なくとも数日から数週間は白癬菌が生きつづけることができる、わが国でもっとも重要な二種の白癬菌のうちでは、紅色菌よりも趾間菌のほうが長く生きているらしい、などの点がわかっています。

菌のつきやすい足の条件
菌のつきやすい特定の人はいるのでしょうか。
おそらく、皮膚に小さなひび割れなどかある人は、なめらかな皮膚の人よりも菌かつきやすいと思われますし、足の指のあいだか狭くていつも指がくっついている人や、爪のまわりに凸凹のある人、などには菌がつきやすいと思われます。
皮膚表面には分子レベルで個人差かあり、白癬菌がつきやすい人とつきにくい人がいるという考えもあります。つまり、皮膚表面に特定の分子構造をもつ人には白癬菌がつきやすいという現象です。このことは、カビにかぎらず、細菌と皮膚や粘膜とのあいだにも認められています。
このような皮膚の表面構造は遺伝すると考えることができます。したがって、同じ家族のなかに複数の足白癬の患者さんがみられやすい原因として、単に菌か家庭内にばらまかれていて足につきやすいということ以外に、足の皮膚の構造による菌のつきやすさかあるのかもしれません。
足白癬になりやすいかどうかは、さきにあげた足の指の間隔や温度、湿度などもふくめて広く検討し、結論をだすべきでしょう。

足をよく洗って乾燥させれば、菌はつかない

偶然皮膚についた白癬菌がすぐに落ちてしまうかどうかも重要です。ここでは、コラムでのべた菌のつきやすさのほかに、いくつか物理的な条件が入ってくるものと思われます。
たとえば、皮膚の表面に白癬菌が偶然ついても、すぐに洗えば簡単に落ちてしまいます。しかし、菌がついたあと、すぐに靴などをはくと、白癬菌はなかなか落ちなくなります。また足をあまり洗わない人は、よく洗う人よりもこの点で不利です。具体的に、どのくらいの間隔で、どのくらいの時間、あるいはどのくらいの強さで足を洗えばよいかというデータやめやすはありません。とにかく、白癬菌が落ちていそうな場所(プール、体育館、シャワー室など)を歩いたあとには、なるべく早く、丹念に足を洗うようにしてください。この際、指のあいだまでていねいに洗うように注意すること。洗う前に、ついでに指のあいだの皮膚をよくみて、皮がはげている場所や白くふやけている場所はないか確かめることもたいせつです。また、洗ったあと、水で十分に流すこともだいじです。
洗ったあとは乾燥です。水けをふき取って、しばらく裸足で十分に乾かします。とくに足の指のあいだが狭くてくっついているような人は、指を広げるように努めてください。扇風機、温風器などを使うのも有効です。
皮膚に白癬菌がついても、そこで増えて角層の中に侵入しないうちは、洗い落とすのも容易です。しかし、いったん足がかりを得て新しい菌糸をのばし、角層の中に入り込むと、洗い落とすのがむずかしくなります。これを防ぐには、できるだけ足を洗うのがよいことになります。しかし、実際には洗ったあとの乾燥なども考えれば、あまり頻回に足を洗うことはできないと思います。ここでは「できれば毎日」という程度にしておきます。

靴下やストッキングは何度も取りかえる
とうぜんのことですが、足を洗ったあとそれまでつけていた靴下やストッキング、ときには素足ではいた履き物などをそのまま使用すると、また白癬菌が皮膚についてしまいます。この点にも注意してくさい。
白癬の患者さんが使ったあとの靴下に白癬菌が生き残っていることは、これまで多くの実験で確かめられています。しかし、どれくらい洗えば白癬菌がなくなるかは、条件のちがいもあってなかなかむずかしい問題です。白癬の感染予防のためであれば、ごくふつうに洗濯し十分に乾燥させる程度でよいと思います。衣類の洗濯も同じです。
洗濯で特別な消毒剤などは必要ありません。むしろ、毎日はきかえるほうが有効でしょう。これがとくに役立つと思われるのは、工場やオフィスで1日中靴をはいて仕事をしている人たちです。
とくに工場ではたらいている人たちは、防災上、足先を鉄で保護するようになった安全靴を義務づけれていることもあり、足のケアは大きな問題だと思います。現在のところよい方法がないので、休憩時間などにはなるべく小まめに靴やストッキングを脱いで、足の指のあいだを乾かすようにしてください。
足のケアにはスプレーやパウダーの使用も役立つとは思いますが、製品も少なく、また医薬品やそれに類する製品としての効力の検定は十分になされていません。ただし、公共の施設などでの使用、貸出用のスリッパや靴類、アクセサリー類の消毒用として、将来より広く使用されるようになる有用な薬剤と思います。

どっちつかすの治療が再発を招く
足白癬は、足にっいた白癬菌がそこで定着して増殖し、実際に目にみえる病変をっくるまでには、かなりの時間を要するものと思われます。
また、一部の人は白寥菌がいて、ある程度増殖しているにもかかわらず、目にみえる症状があらわれないというケースもあるでしょう。わたくしは、じつはこれに近い状態がわりあい多いのではないかと思っています。たとえば、お年寄りで比較的足が乾燥していて、わずかに皮膚がむけているような人たちです。
さきにのべたように、一部の白癬菌はヒトにたいして生態学的にみて常在菌的な性格をもっています。
この点からいえば、足に白癬菌がいるというだけではなにも問題はなく、要は病気でなければよいということになります。このように割りきってしまえば、足白癬の治療と予防は、
①もし十分な治療ができ、完治できるものならそのような治療をする
②種々の事情でなかなか完治までもちこめない場合、なるべく生活の支障とならない程度に症状をコントロールすると同時に、周囲に菌をまき散らさないようにする
の、どちらかであればよいといえます。しかし、現在の足白癬の治療はこの中間の、どっちつかずの治療をくり返している場合がもっとも多く、これが再発を招く原因であると思います。

高齢者の足白癬の予防と治療にはどんな注意が必要か

以上にのべた治療についての考えかたのうち、後者、すなわち症状をコントロールしながら暮らしていくやりかたについては、いろいろのことが考えられます。その代表として、高齢者でいくつかの合併症があり、自分や家族の手で十分な治療ができない場合をあげてみましょう。
このような場合、治療の障害になりやすい点として、
①角化型足白癬(かくかがたあしはくせん)、爪白癬(爪水虫)の頻度が高く、この病型は治療効果があらわれにくい
②自分で足のケアをすることができない。他人の手によるケアでは、どうしても「かゆいところに手が届かない」ことが多い。たとえば爪切りひとつをとっても、自分でやるのはなかなかむずかしい
③合併症でたくさんのくすりをのんでいることが多く、それ以上くすりを増やしにくい。また、くすりの相互作用がでるおそれがあるため、くすりの選択の幅が狭くなるなどがあげられます。
この場合、まずその水虫が患者さんの生活に不愉快なものでないようにする必要があります。そのためには、皮膚の上で細菌や白癬菌が過度に増殖しないように、まず局所が清潔で乾いているようにする必要があります。
入浴についてよく質問されますが、皮膚の病気で入浴や洗浄が好ましくないとされるものは、まずありません。もし悪いとすれば、それは方法が悪いのです。あまり熱い湯やこすりすぎはいけません。皮膚表面の老廃物や微生物類をふくむ汚れを取り除くには、直接洗い流してしまうのがもっともてっとり早い方法です。水(できればぬるま湯)をふんだん
に使い、こすり落とすのではなく、ゆっくり洗い流すようにします。石けんはふつうのものでかまいません。薬用石けんは必要ありません。洗いすぎや熟すぎる湯などは、むしろ害をもたらすことになります。

治療薬の選択についても注意が必要です。
角化型足白癬や爪白癬(爪水虫)にたいしては、ふつう内服剤が使われますが、合併症のくすりなどをのんでいる患者さんでは、さきにあげた理由から、内服剤が使えない場合がどうしても多くなります。そうかといって、内眼剤のかわりに密封包帯法(ODT)や重層法などの特殊な外用療法を行うにしても補助してくれる人が必要で、自分一人でやるのはなかなか困難です。
外用剤についても、足の指がよく動かないときに使うと効果が低く、逆に副作用がでやすくなります。
ひどいときには、かぶれを防ぐために2日に1度程度に使用をひかえなければならない場合もあります。
このため、高齢者の足自家の治療はどうしても不十分になりがちです。極端な場合、完治はあきらめて、不愉快な症状をとることと、家族への感染源にならないようにする程度がせいぜいということにもなります。しかし、いずれにしても、皮膚のケアは病気ごと、患者さんごとにきめ細かく行う必要があります。
このように特殊なケアが必要な場合は、高齢者以外にもいろいろあります。その場合の足のケアも、これまでにのべてきたことの応用でまずまちがいありません。たとえば足に麻痺がある人では、足の指のあいだが十分に開かず、一度そこに病変ができてしまうとなかなか治りません。足の指のあいだをどのようにして開いておくか、工夫がいるところです。
足のケアに際しては、いろいろな素材や薬品の力を借りることら考えられます。たとえば風通しのよい素材でつくった靴の利用や、乾燥剤の利用などです。

水虫とは

生きたものにつくカビ
ふつう生きているものにはカビはつかないと思いますが、水虫のカビはなぜからだにつくのですか
この質問にたいする答えは、「ふつう、目にするカビは、生きたものには生えていない」ということで、「生きたものにはカビはつかない」わけではないのです。
カビは、地球上の生物のうちでもっとも環境への適応に成功したものの一つです。その棲息範囲は、それこそ温泉の中から南極にまでおよんでいますし、生きたものから死んだものまで、なんでも栄養にしてしまうカビがそれぞれかならずいます。ジェット機の燃料タンクの中に生えているカビの話をお聞きになった方もおられると思います。
むろん、一種類のカビでこのような芸当をするわけではありません。それこそ、五万種ともいわれるたくさんのカビの種類のなかには、このような極端な生活に耐え得るむのがいるということなのです。
ところで、生きたものにつくカビとしては、腐りかけたくだものにつくカビや、水槽の中の魚などに白い毛が生えたようなカビがつくことがあります。
これらはいずれも、「カビによる病気」にあたります。
人間にも、生きているうちからたくさんのカビがつきます。もっとも、その多くは健康な人にではなく、なんらかの病気をもった人に好んでつく、いわゆる「日和見感染(ひよりみかんせん)」のかたちをとります。肺のアスペルギルス症、脳のクリプトコックス症などはその例で、とくに後者はエイズに合併してくることから、最近、有名になりました。
またヒトの腸の中には、健康な人であってもカンジダというカビが住んでいます。これは厳密には、生きた細胞や組織の中に住んでいるわけではありませんが、いずれにせよ生きた人体をすみかとしているものです。
水虫の原因になる白癬菌も、はじめは土の中に住んでいたカビでした。それがヒトの皮膚というからだをおおう生きた器官に住めるように進化したものと考えられています。
このカビが皮膚に住みつくと、それを追い払おうとして人間側から反応(炎症)がおこります。これがたむしや水虫の症状となってあらわれてくるのです。

症状やくすりの効果がちかう理由
水虫の症状やくすりの効きかたは、人によってさまざまとか聞いています。原因になるカビの種類もそれだけに多いのでしょうか
まず質問の後半からお話しします。わが国では現在5〜6種類の白癬の原因菌が知られています。
これらの白癬菌は、それがヒトに感染したときにおこす症状や流行、感染のしかたがそれぞれ少しずつちがいます。また同じように、抗真菌剤にたいする感受性もちがっています。
この点からすると、患者さん一人ひとりでくすりの効きかたもちがうはずです。しかし、抗真菌剤の効きめがそれぞれの菌種によって差がでるのは、実際には数百から数千分の1%程度のごく低い濃度のあたりでの話です。通常の外用抗白癬剤は1〜2%の高い濃度で抗真菌剤の成分をふくんでいるので、この点からみると、個々の菌種の感受性の差は、実際のくすりの効果にはほとんど影響がないと考えられます。
患者さん一人ひとりでくすりの効果に差があるのは、むしろその患者さんの白癬菌にたいする易感染性や年齢、性別、生活習慣などによるものであり、再発性の感染では白癬菌が周囲にどの程度いるか、あるいは治療のやりかたなどによって差がでてくるものです。

水虫の感染力

水虫の感染力はどれくらい強いのですか。まわりに水虫の人がいたら、うつる可能性は高いのでしょうか
水虫は、内科や小児科でいういわゆる伝染病に比べれば、ごく弱い感染力しかありません。
まわりに水虫の人がいても、それだけでうつるものではありません。水虫がうつるには、水虫患者さんからこぼれ落ちた白癬菌が皮膚につき、そこで増えなくてはなりませんが、これにはかなりの時間が必要です。たとえばプールや体育館などで足に白癬菌がついても、よく洗ったり乾燥させてカビが増えることのできない環境をつくれば、水虫にはなりません。
ただし、家庭となると話はちょっとちがいます。家族のなかに足白癬を治療していない患者さんがいると、患部から絶えず白癬菌が床などにばらまかれます。こうした環境で生活している家族には高い確率で白癬菌がつくと思われます。足は、その凸凹の多いかたちや靴をはく生活習慣から、白癬菌が増えるための高温多湿の環境を容易につくりだします。
このような状況ではとうぜん、まわりの人にうつることが多くなると思われます。
子どもの足白癬をみた場合、その家庭には白癬の患者さんがかならずといってよいほどみられます。
また、親に足白癬がある家庭の子どもは、そうでない子どもにくら、べて、症状のあるなしを問わず白癬
菌をもつ率が高くなっています。こうしたことは、家庭での足白癬のうつりやすさを表しているものです。

水虫にはいろいろな種類があるそうですが、いくつもの水虫にいっしょに感染することはありますか。また、みずむし以外の細菌を合併することはありますか
水虫の原因菌についての質問と思います。水虫とは、一般的に足の皮がむけたりかゆくなったりする皮膚病すべてをさす言莱であり、足白癬がその代表です。この意味からは、足白癬以外にも、かぶれや汗極といわれるもの、あるいはカビではなく細菌による足の指のあいだのただれも、水虫の仲間といえるでしょう。

別の立場から、水虫の代表として足白癬を考えると、これには趾間型、小水疱型、角化型、さらには爪白癬(爪水虫)(爪の水虫)などの病型があります。
一人の患者さんにこれらの病型がダブってあらわれることは、とうぜんあります。
ところで、「いくつもの水虫がいっしょに感染するか」という質問は、ふつうに考えれば「二種以上の白癬菌に同時に感染するか」ということになります。
足白癬の代表的な原因蘭としては、紅色菌と趾間菌があり、これらはそれぞれほぼ同じくらいの割合で足白癬から見つかります。この二種類の白癬菌だけで、原因菌の90%以上を占めています。ときには同じ足の白癬病巣から、この二種類の菌が同時に見つかることもあります。この場合、同じ場所に両者が共存しているのか、あるいは分布がやや重なるくらいで、原則としてちがう場所に住み分けているのかは、はっきりしません。しかし、いずれにせよ、二種類の白癬菌にいっしょに感染する現象がときにみられるわけです。
次に、水虫(足白癬)とほかの細菌感染とが合併するかどうかです。
趾間部(足の指のあいだ)は高温多湿になりやすく、この条件を反映してここにはたくさんの細菌が住んでいます。白癬菌につごうのよい条件は、同時にほかの細菌のためにも住みよい条件になります。
したがって、足白癬にはかなりの割合でほかの細菌もいっしょに見つかりますし、さらに足が湿っぽくなると、細菌にとってますます有利になり、ついには細菌による趾間びらん(ただれ)となることもあります。しかし、一面では、足の指のあいだの患部では、湿った環境のなかで白癬菌と細菌が生存のためにしのぎを削っているともいえるのです。

水虫と体質の遺伝
20代の男性です。祖父と父母がみずむしで、「水虫家系」といわれています。水虫になりやすい体質のようなものがあるのでしょうか
水虫になりやすい家系は、確かにあります。単純に考えても、指が太くて指のあいだが狭いような足の人は、どうしても水虫になりやすいのです。このような足のかたちが遺伝することは、十分に考えられるでしょう。
皮膚の表面への白癬菌の住みつきやすさの度合いや、いったん住みついた白癬菌にたいする免疫学的な排除反応の強さなども、遺伝的に決められる性質です。この面でも、水虫になりやすい家系があることになります。しかし、「水虫家系」を考えるうえでは、遺伝以外のことも考慮すべきでしょう。たとえば、家族に足白癬の患者さんがいると、家の中に白癬菌をまき散らしますから、ほかの人も白癬になりやすくなります。これが一見、遺伝とまちがわれているケースであると思います。また、家庭での習慣(入浴回数や履き物の使用状況)なども、家系内の水虫は遺伝する、と誤解されるもとになっている可能性があります。
一人ひとりの患者さんについては、これらのいくつもの条件が組み合わされて、水虫になるかどうかが決まるのではないかと思われます。

片方の足だけの水虫
40代の男性です。20年以上も水虫とのつきあいがつづいていますが、左足にだけ症状がでて、右足はなんともありません。なぜでしょうか
これは、確かにときどきみられるおもしろい現象です。以下のように、いくつかの理由が考えられます。
①左右の足の構造や日常の習慣のわずかなちがいで、片方の足だけが白癬菌の増殖に有利な環境になっている。このため、単に機会の問題で、片方にうつりていない
②白癬菌は両側の足について増えているが、①の理由で片方の足だけが増殖の程度が軽い。そのため、まだ宿主側の免疫学的反応をおこすほど白癬菌の密度が高くなっていない
③両足とも白癬菌はいるが、いっぽうの症状が極度に強いため、もういっぽうの足の症状が見逃されているわたくしの調査では、片側だけに足白癬がみられる患者さんでも、くわしく調べると、健康な側の足からもかなりの割合で白癬菌が見つかりました。②や③の状態がかなり多いと考えています。

水虫の足以外への感染

水虫は足以外の場所にもうつると間きました。水虫があれば、こうした感染の可能性は高いのですか。足以外にうつりやすい条件があれば、教えてください
白癬菌は湿ったところを好んで増えます。足に白癬があれば、からだのほかの部分にもどうしても白癬菌がつきやすくなります。そこが湿った状態だったり、白癬菌の増殖につごうのよい状況ができたりすれば、とうぜん白癬の症状をあらわします。具体的には陰股(いんこ)部のつけ根などの皮膚のすれあうところ、あるいはほかの病気の治療で軟膏(とくに副腎皮質ステロイド剤の軟膏)などを塗った場合などです。
成人の頭部やひげの部分にケルスス禿瘡(けるすすとくそう)や白癬性毛瘡(はくせんせいもうそう)といわれる病気があれば、まず足に白癬がないかを疑う必要があります。ときには、かぶれや掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などの病気が足にあって水虫と考えられていた場合、これらの皮膚病の発疹が、足だけではなく、からだのほかの部位にも同じ症状をつくってくることがあります。これが水虫の転移と考えられていることもあるので、要注意です。
もっともとからだや腕などにではじめるたむしは、動物や土などから皮膚についた菌によることが多く、たむしの患部から足に、とくに指のあいだにうつることはまずありません。

手の水虫は足の水虫と同じものですか。足に水虫があれば、手にもみずむしができるのでしょうか
手の水虫(ここでは手白癬にかぎります)は、足の白癬とだいたい同じです。だいたい同じという意味は、いずれも白癬菌によっておこされる感染であるという意味で、細かいところはいくぶん異なっています。
まず、手の白癬はほとんどが手のひらからはじまり、指のあいだが湿ってくることはまずありません。
小水疱ができることもまれです。ほとんどが皮が厚くなってむけてくるもので、足でいえば、角化型といわれるものに近くなります。また、両方の手におこることは少なく、ほとんどが片手だけにできます。
原因菌からいっても、足の白癬のうち趾間型といわれるものは紅色菌と趾間菌がほぼ半々ですが、手の場合にはほとんどが紅色菌です。外用抗真菌剤が効きにくいこともあわせて、足の角化型の原因菌の頻度や症状とよく似ています。
手の白癬は、ほとんどが足の白癬に続発したものです。つまり、足に白癬があれば、とくに爪にも病変があるようなら、手にうつる危険性が高くなります。

水虫と日和見感染
水虫の仲間が内臓に感染する場合があるそうですが、水虫そのものがこうした重大な病気の原因になることはないのでしょうか
カビのなかで、内臓に病変をつくりやすいものがいくつか知られています。アスペルギルスやクリプトコックスなどのカビがこれにあたり、また皮膚にもよくみられるカンジダという菌は、同時に内臓にも病変をつくりやすいことが知られています。ただし、日本でみられるこのような内臓の真菌症は、すべて、宿主(ヒト)の側に対外的な防御力の欠陥が
生じたときにおこる、いわゆる日和見感染といわれるものです。こうした防御力の欠陥をおこすものとして、白血病などの血液の病気やリンパ腫、糖尿病、悪性腫瘍などの末期の状態、抗腫瘍剤や免疫抑制剤あるいは副腎皮質ステロイド剤の使用時などがあります。
白癬菌が内臓に病変をつくることは、まれに報告されています。この場合も、やはり日和見感染のタイプです。またこのような場今皮膚の白癬の症状もふつうの症状とはちがっていることが多く、治療もむずかしいのが特徴です。
逆に、このような白癬菌の皮膚への感染が、ほかの内臓真菌症の誘因となることは、まずありません。といっても、足やからだの水虫、たむしなどを放っておいてもよいということにはなりません。

糖尿病と水虫

糖尿病があると水虫になりやすいというのはほんとうでしょうか。ほかにも、に影響する病気はありますか
わたくしの勤務する長崎市立市民病院皮膚科外来のデータによれば、糖尿病だからといって、足白癬あるいは水虫になりやすいということはありません。しかし、糖尿病にかかるといろいろな感染症にたいする抵抗力が落ちることはよく知られています。これは主に、糖尿病があると、血液中の白血球のうち、細菌にたいする防御を受けもっている多核白血球の機能が低下することと関係しているようです。足の白癬になりやすいかどうかは多核白血球のはたらきとは関係がないので、糖尿病だからといって、水虫にとくにかかりやすくなるということはないのです。

糖尿病におこりやすいカビの合併症
カビの仲間では、ムーコル症という主として内臓に病変をつくるものと、外陰部のカンジダ症が糖尿病の患者さんに合併しやすいことが知られています。とくに、外陰部のカンジダ症はかゆみが長くつづくので、なかなかやっかいな合併症です。
ただし、糖尿病の場合、とくに足の末端部の血液の循環が悳くなり、足が乾燥したり、表皮の最上層である角層が厚くなり、はげ落ちるなどの変化がでやすくなります。これらの変化のために、本来の足白癬の症状がわかりにくくなることがあるのて注意を要します。つまり、足が乾いているために足白癬の症状じたいも軽くなるのと、糖尿病のための皮膚の変化にまどわされて、つい白癬菌の検査や治療がおろそかになりがちなのです。
糖尿病の合併症として、細菌感染がおきやすいとさきにのべましたが、そのうちでもっともこわいものとして壊死性筋膜炎や非クロストリジウム性ガス壊疸などの病気があります。これらはいずれも足におこりやすく、皮膚から侵入した細菌が急速に皮下の組織を破壊していくため、放っておくと生命にかかわります。
注意すべきは、足の指のあいだの白癬の患部が、これらの菌の侵入門戸となる可能性があることです。とくに、太っていて、足の指のあいだが湿って白くやわらかくなっているような人は、十分な注意が必要です。糖尿病の大の足や皮膚のケアについては、次の質問でのべます。

白癬に影響するそのほかの病気
糖尿病のほかに、白癬に影響する病気としては、生まれつき表皮の角層が厚い先天性掌蹠角化症(せんてんせいしょうせきかくかしよう)や、全身のリンパ節の病気である悪性リンパ腫があります。これらは頻度としては少ないものですが、後者では免疫不全の状態が原因となって、全身に広い病巣をつくり、治りにくい白癬病巣や爪白癬(爪水虫)などをおこしやすくなります。エイズでも同じようなことがおこることが知られています。
病気そのものではありませんが、副腎皮質ステロイド剤を内服や外用で使っているときにも、白癬をはじめ、多くのカビの病気がおこりやすくなります。
とくに足の皮膚にできたかぶれや掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などの皮膚病に副腎皮質ステロイド剤を使うと、ふだんとはちがった白癬ができることがあります。足にかぎらず、副腎皮質ステロイド剤を使っているときには細心の注意が必要です。このようなくすりは、かならず医師のコントロールのもとで使用するようにしてほしいと思います。

糖尿病のときの皮膚のケア 検査で糖尿病といわれました。皮膚のケアで特別に注意することがありますか
糖尿病の患者さんの足の皮膚は、一般に乾燥しがちで、皮膚の表面がガサガサになりやすく、また、足の裏の皮膚が一部だけ厚くなって、いわゆる「たこ」ができやすいのが特徴です。そこで、糖尿病の人は、皮膚のケアで次のような庄意が必要です。
①足白癬の検査と確認
まず足に白癬がないか皮膚科医による検査で確認することです。水虫のカビがいることがわかったら、適当な抗真菌剤でしっかり治療しておきましょう。くすりについては個人差もあるので、皮膚科の医師に相談してください。これは、足白癬がきっかけとなって、より重大な細菌の感染をひきおこさないようにするためです。
足の指のあいだは、なる、べく乾燥させておくこと、きつすぎる靴下や靴は避けるようにしてください。つねに足の指のあいだを手で広げて観察し、白くふやけているようだったら皮膚科医の診察をうけましょう。指のあいだを乾燥させておくと、このような変化をおこさずにすみます。
②足の清潔を心がける
石けんは特別なものは必要ありませんが、指のあいだまで十分に洗うことです。洗ったあとはよく水けをふき取り、乾かします。とくにパウダー類を使う必要はありません。
③皮膚が厚く硬くなったら要注意
たこ(皮膚科では絣砥腫という)を放っておくと、そこから孔があいて、治りにくい潰瘍をつくることがあります。たこにかぎらず、小さなけがなども皮膚科医の適当な治療をうけるようにしましょう。深爪にも注意してください。
④皮膚の乾燥とかゆみに注意
すね(下腿)から足にかけての皮膚が乾燥し、かゆくなることがあります。皮膚科医と相談のうえ、
適当な保温剤やかゆみ止めを使うようにしてください。熱いふろや長ぶろは、皮膚が乾きすぎる原因となります。

最近、小さな子どもにも水虫が増えていると聞いています。どのような原因が考えられるのでしょうか

確かに、子どもの水虫は増えているといわれます。その原因としては、靴をはく習慣が広がり、しかも長時間はく機会が増えていることや、暖房の普及で足(とくに指のあいだ)にカビが生えやすい条件ができてきたことなどがあげられます。足白癬や爪白癬(爪水虫)の患者数も増えていますので、家庭内で足白癬がうつる機会そのものも増えていると思われます。
また、いろいろな化学製品や合成品などでかぶれをおこすことも多くなっており、これらがいっしょになって、水虫が増えたとの印象をあたえていることも考えられます。わたくしもズック靴の皮膚炎や玩具による皮膚炎などで、水虫を心配して受診される患者さんをときにみかけます。
さらには、生活水準が上がって皮膚科医の診察をうける機会も多くなったために、これまで見逃されていた水虫が病気として治療の対象となったことも考えられます。

足の指のかたちによって、水虫になりやすい場合となりにくい場合があるというのはほんとうですか。どんなかたちだと、水虫になりやすいのでしょうか

足のかたちが水虫の治りかたと関係することは、皮膚科医がよく経験するところです。したがって、足のかたちはたぶん、水虫になりやすいかどうかとにも関係していると思います。
水虫が治りにくい足には、
①指のあいだがぴったりくっついている
②指が全体として太く九つこい
③指の先が集まるように足先がとがっている
④指の動きが悪い
水虫になりやすく、治りにくい足のタイプなどの特徴があります。
このような足では、指のあいだに湿りけが多くなるでしょうし、また十分に洗いにくく、洗ったあと乾きにくくもなるでしょう。
水虫治療の第一歩として、手足の清潔と乾燥が大きなポイントになります。このような足をしている人は、意識して指のあいだを清潔にし、乾かすようにする必要があると思います。
 

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