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水虫になったらどうする?

      2016/07/25

水虫になったらどうする?

水虫と皮膚のしくみ

みなさんは、水虫という言葉を何回もお聞きになったことがあると思います。あるいは、身近に水虫にいつも悩まされている人がいる方も多いでしょう。水虫とはそれほどありふれた病気なのですが、ではあなたの水虫にたいするイメージはどんなものでしょうか。
①うつる(伝染する)
②なんとなくじめじめしている
③かゆい
④泊りにくい
というようなことでしょうか。では、次のことにお答えになれますか。
「水虫の原因は」「どんな治療法があるのか」。
いかがですか。身近にあって意外と知られていない
水虫の正体や疑問についてお答えしようというのがこのページです。
 

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水虫には二つの意味がある
水虫とは病気の名前です。あたりまえのことに思えるかもしれませんが、医学的にはその病名が
なにをさしているかをまずはっきりさせることは重要なことです。
多くの本に、水虫イコール足白癬(あしはくせん)という意味のことが書いてあります。そしてそれが、医学的に
も正しいと認められるようになっています。ここで白癬というのは、白癬菌あるいは皮膚糸状菌とよばれる一群のカビの仲間が、皮膚にとりついたためにおこる病気です。その病気が足におきたとき、足白癬とよびます。
しかし水虫という病名は、医学的な足白癬という用語が使いだされる前から使われていました。
たとえば、昭和八年に発行されたある百科事典には、「ミズムシ〔水晶〕一手掌および足歎に発疹し、そのあとにその部の表皮がまるく、うすく剥離する状態を俗に『水虫』という。もともと独立の一病名でないからいわゆる『水虫』の中には種々の皮ふ病が含まれているが、汗疱状白癬(=後述する足白癬の小水疱型)または汗疱がその中の主なものである」と書いてあります。
つまり、水虫とよばれるもののなかでは、確かに白癬菌による足白癬がもっとも重要なのですが、そのほかにも、足の皮がむけてきたり足の指のあいだが湿ってくるような状態をすべて一般に水虫とよんでいたわけです。
水虫についてのべるとき、いつも注意しなければならないのがこの点です。皮膚科医は、知らず知らずのうちに、水虫イコール足白癬と考えて話をします。また、くすりを処方します。しかし、患者さんにとっては、足の皮がむけてくる状態はすべて水虫なのです。ですから、実際には足白癬でもないのに、足白癬のためのくすりを使ったり、まちがったケアをする場合もでてくるのです。
そこでこのページでは、ごく一般的に足の皮がむけたり、足の指のあいだがふやけたりただれたりする皮膚の変化にたいしては昔から使われてきた「みずむし」の語を用い、その状態が白癬菌によっておこったことがはっきりしているときには足白癬の語を使って話をすすめていきたいと思います。

■足白癬は皮膚の成分を食べるカビによっておこるまず、足白癬から話をはじめます。なんといっても、水虫の患者さんのなかでは、やはり足白癬をもっている人が圧倒的に多いと考えられるからです。さきにのべたように、足白癬は、白癬菌(皮膚糸状菌)という一群のカビによっておこる病気です。
わたくしたちをとりまく環境にはたくさんの微生物がいます。そのなかの一群であるカどは、さらに多数の種をふくんでいます。だれでも、これらのカビの仲間がみかんやパンなどに生えているのをみたことがあるはずです。つまり白癬とは、皮膚にカビの一種である白癬菌が生え、それにたいして宿主(しゅくしゅ。この場合はヒト)が一連の、主として白癬菌を取り除くための反応をおこしている状態をさす言葉といえます。
それでは、皮膚はからだのなかでどんな役割を果たしており、いっぽう白癬菌をふくむカビとはどんな生物なのでしょうか。
あとでくわしくのべますが、このページで問題にするカどは、毛や爪をふくむ皮膚の最外層のもっとも重要な成分であるケラチンというたんぱく質を主な食物とする、やや特殊な一群の微生物です。そして、そのような一群のカビが皮膚についておこす病気が皮膚糸状菌症であり、一般に白癬といわれるものなのです。それが、とくに足の皮膚にできた状態を足
白癬といいます。
ところで、白癬菌がついて増えるのは、厳密には皮膚の鍛外層のほんの一部分の層なのです。そこでまず、病気の舞台となる皮膚についてお話しします。

皮膚のしくみと白癬菌はどのようにかかわるのか

皮膚はご存じのとおり、わたくしたちのからだの表面をおおう一枚の膜です。しかし、単なる膜ではなく、複雑な構造とはたらきをもつ、からだのなかで最大の器官でもあります。

・つねに新しく生まれかわっている表皮

皮膚の断面図足の裏の皮膚には毛と脂腺はない

皮膚の断面図足の裏の皮膚には毛と脂腺はない

上の図はその構造を、横断面で示したものです。皮膚ははっきりと異なった構造とはたらきをもつ二つの層に分けられます。
表皮は文字どおりからだの最外層にあり、血管をふくまない層ですが、さらにいくつかの層に分かれています。表皮のもっとも基礎となるのが基底層で、これは基底細胞とよばれる一層の細胞からなります。
基底層の細胞は盛んに分裂し、一方はそのまま基底層に残りますが、もう一方は基底層をはなれてその上方に位置するようになり、結局分裂をくり返すごとに上層に幾重にも重なった細胞の層をつくります。これらの細胞は、単に重なったままあるのではなく、そのなかでケラチンという硬いたんばく質をつくり、ついには最上層でうすいケラチンを主とする小片が重なり合う層となります。この層を角層といい、ここでは細胞が死んで、核もなくなっています。角層は、ドから新しい細胞ができるたびに上のほうがはげ落ち、いつも新しい角層が一定の厚みとバランスで保たれています。
この珀層の厚さはからだの部位によりて異なり、足の裏はもっとも厚くなっています。つまり、足の裏は厚くて強い角層で保護された、特殊な部位といえます。爪や毛は、この狗層が特殊な目的に合うように分化したもので、やはりケラチンが主成分となっています。

皮膚は外界のさまざまな物質を吸収します。そこで、皮虞の表面についた、あるいは塗られた物質は、角層を通って全身を循環する血液の中に入ることができます。皮膚を通り
抜ける物質のルートとしては、直接に角層をつき抜けるものや、毛孔や汗をだす腺など皮膚にあいた孔を通るものなどがあります。
しかし、正常の角層をあらゆる物質か無制限に通り抜けるわけではありません。ある程度以下の分子量のものでないと入っていけませんし、また角層の中には強力なバリヤーが
あって、その下の層に物質が入るのを妨げていることか証明されています。これはわたくしたちのからだを守るためにたいせつなことですが、また角層の中に住む白書菌にとって
も、自分たちを駆除するために使用されたくすりから身を守るうえでつごうのよいことだと思われます。皮膚の表面にくすりを塗ると、その大部分は角層にとどまりますが、角層の細胞はつぎつぎに新しく生まれかわり、上のほうから捨てられてしまうので、ある程度時間がたてばくすりはうすくなって効かなくなってしまいます。
皮膚病の治療にあたって、どれくらいの間隔でくすりを塗るかは、そのくすりの成分や菌にたいする作用とならんで、だいじなことなのです。

■表皮は免疫系の引き金の役目をもっている
表皮にはこのほか、メラニンという色素をつくるメラノサイトや、免疫を担当するラングルハンス細胞なども混じっています。
メラニンは、紫外線を吸収することで核の中の遺伝子を守る役目を果たし、皮膚の色の濃淡はメラニンの量の多少に大きく影響されます。
ラングルハンス細胞は、近年、その免疫学的な役割がトピックスになりました。簡単にいえば、この細胞は、皮膚の表面から侵入するさまざまな異物を認識して、その情報を、もう少し深いところにある免疫担当細胞にわたし、一連の免疫反応をひきおこす引き金の役目を果たしています。これらの免疫学的な反応は、外界から侵入する有害な異物を直接・間接に随理したり体内から取り除いたりして、からだを守るはたらきをしています。
皮膚の免疫学的な反応を大きく分けると、じんましんのように異物に接触するとすぐにはたらく即時型反応と、かぶれのようにやや遅く反応があらわれ2〜3日後にピークとなるものがあります。このかぶれ型反応はさらに、強い酸や腐食性物質によるかぶれなど、だれにでもかならずおこる反応と、うるしかぶれや化粧品かぶれ、果実での皮膚炎など、一部の敏感な人にだけみられる反応があります。
この、特定の人にゆっくりおこるかぶれ反応は、特定の物質に最初にふれたあと、生体がそれを有害なものとして認識したためにおこるものです。それ以後ふたたび同じ物質にふれると、一種の記憶によって強い排除の反応をおこすと考えられます。このような反応をアレルギー性の反応といい、皮膚の多くの病気の原因やその発病の過程にかかわっています。

白癬菌は生きた皮膚に住みついて反応をおこす

このページのテーマである、水虫のカビも、もちろん皮膚についた異物として認識されます。しかし、それにもまして重要なのは、水虫(足白癬)をおこす白癬菌は、この角層の中に好んで住みつく生物、つまり生きている異物ということなのです。このような生物にたいする反応の特殊な点は、あとにものべます。
ところで、ケラチンは、からだの最外層で外界にたいする防御の第一線の役割をもつ角層の主成分です。このため、物理的・化学的に非常に強いものにつくられています。そのケラチンを自分の栄養として利用するために、白癬菌はケラチンを溶かす酵素(ケラチナーゼ)をもっています。逆にいえば、強力なケラチナーゼをもつことができたカビが角層に住めるようになり、ついには現在の白癬菌となったと考えてよいでしょう。

・ケラチンをふくむ毛や爪も白癬菌の攻撃目標になる
毛は、根もとを表皮細胞に包まれて、表皮の中にななめに刺さったようなかたちで生えています。毛は中心部の髄質(ずいしつ)と周辺の皮質爪小皮(ひしつそうしょうひ)などからなっていますが、全体としてケラチンのかたまりといってよく、やはり白癬菌の攻撃目標となります。毛の根もとには脂肪をだす腺がついており、ここから分泌される皮脂は毛孔を通って外にでて周囲の角層に広がります。また人間の場合には痕跡的にはなっていますが、小さな筋肉によって毛はほぼ直角に立つことができます。いわゆる鳥肌がたった状態で、動物では保温や相手を威かくする役目を果たします。また、ネコのヒゲをみてもわかるように、毛には感覚器としてのはたらきもあります。
爪は、指先の角層が変形したものです。このため、やはり白癬菌の攻撃対象になります。もっとも目立つ爪甲は、爪の根もとでつくられ、先端にのびていきます。おのおのの名称については下の図をみてください。

爪の構造と名称

爪の構造と名称

 

・丈夫な構造でからだを守る真皮
表皮の下には真皮があります。ここでは半流動性の、基質とよばれる層の中に、たくさんの線維成分がからみ合ってネットワークをつくっており、またそのすき間に血管や神経が通っています。真皮の中を走る神経は、末端部でさまざまに分化し、温度や圧力、痛み、かゆみなどを感じるようになっています。
わたくしたちがふだん使っている革製品は主に動物の真皮の部分を加工したものですが、このことからもわかるように、皮膚は弾力性をもつと同時に引っ張りの力に強く、裂けにくい構造をもっており、わたくしたちの内臓を守っています。
表皮につながる管の末端には、汗をつくる汗腺が真皮の中にのびています。また毛の根もとからは、毛をつくる毛根部がやはり真皮のほうにのび、その一部に脂肪をだす腺がついていることはさきにのべました。
汗や脂肪は管を通ってからだの表面にだされ、両者が混じりあって皮膚の表面に適当な湿気とやわらかさをあたえています。また体内の一部の物質も、汗や脂肪(皮脂)に混じって排泄されます。
皮膚の下にある厚い脂肪の層は皮下脂肪といい、保温や外力にたいするクッションのはたらきをもつほかに、脂肪を燃やすことでエネルギー源ともなります。皮下の脂肪までふくめて、皮膚の厚さはからだの部位ごとに異なっており、全体として、からだを守るのに非常にうまく適応するように発達・分化したものになっています。

白癬と白癬菌「カビ」とはどんなものか

・カビは決して下等な生物ではない
古くなった食べものにはよくカビが生えます。皮膚に白癬とよばれる病気をおこす菌も、こうしたカビの仲間で、特殊な分化をIcげたもののひとつです。カビは一時、植物のなかでもっとも原始的なグループの生物であると考えられたことがありました。
しかしカビのことがくわしく調べられるにしたがって、からだの細胞の構造や機能が、いわゆる高等な動物や植物に匹敵するほど分化したものであることが知られてきました。
現在では、かつてのように生物界を単に動物界、植物界に二分するのではなく、まず生物群のなかでもつとも発達した核をもつものを真核生物と名づけ、このなかに、動物界、植物界とともに第3の生物群として菌界を認める見解が一般的になっています。
簡単にいえば、高度に分化した生物部を3つに分け、そのなかでカビをふくむ生物群を菌界として分類するのです。
ここでいう界(かい)とは、動物、破物など、生物界を分けるもっとも大きな単位です。これらよりも原始的な核をもつ生物群は原核生物として区別されていますが、そのなかには多くの病気の原因にもなる細菌類が入っています。
真柱生物に属する生物群は、それ以外の原核生物の生物群とくらべると、個々の細胞のサイズが大きく、核は柱膜に取り囲まれているのが大きなちがいです。たとえば、細菌のサイズは直径1μ(ミクロン:1μ=1000分の1mm)以下であるのにたいして、真核生物のそれは3〜10μいあるいはそれ以上です。これらの真核生物では、わたくしたちのからだの細胞、たとえば赤血球や表皮の細胞などのサイズと、基本的な構造が共通しています。動物界に属する生物群は、ロや消化器を使って栄養をとることに特徴があり、植物群は、葉緑素によって自分白身で栄養をつくりだすことに特徴があります。これらの生物は、分化するにしたがって多くの細胞からなるからだをもつようになり、これらの細胞はさらに、動物でいえば脳や血管などに、植物では葉や根などに分化していろいろな器官をつくり、栄養の摂取をより効率的に行うようになっています。
動物や植物は、地球上のさまざまな場所ての生活に適応するために、あるいは生物同士の食物の取り合いに勝つために、より効果的なしくみをもつように進化し、その結果さまざまな種に分かれていったのです。
これらの生物群(動物界・植物界)にたいして、カビは原則として単細胞のままで生活し、そのままのしくみで自然界のあらゆる環境に生息できるように進化・分化をとげてきたと考えられます。わたくしたちの周囲には、何十万種ものカビが生きていますが、それぞれのカどはその環境のなかで有利に生活できるように、特有の形態と機能を発達させてきたものなのです。

菌界に属する生物群を真菌ともよび、カビやキノコのほとんどがこれにふくまれます。そのいくつかは、ヒトをはじめとする動物や植物に寄生し、ヒトでは内臓にも病気をおこ
すことが知られています。真菌(カビ)の寄生によっておこる病気を一括して翼菌症とよびます。
カビの種類はじつにたくさんありますが、それによっておこる真菌症もさまざまです。ただし、どんなカピかどんな病気をおこすかは、だいたい決まっています。たとえば、白癬菌(皮膚糸状菌)という皮膚の最外層(角層)に寄生するカビ、口の粘膜や消化管などをすみかとするカビ(カンジダ)などは、それぞれの場所で特有の病気をおこします。角層、つまりからだの表面の核のない細胞(死んだ細胞)からできた組織に生じるカビ感染症を表在性真菌症といい、これには、このページの主なテーマである白癬のほかに、皮膚カンジダ症、癜風(でんぷう)などの病気があります。これにたいして、からだの深部、たとえば肺や脳などにもいろこれらをまとめて深在性翼菌症とよびます。表在性真菌症は主として
皮膚科医が扱い、外用剤で治療することができます。この点が深在性真菌症と大きく異なっています。カビによっておこされるヒトの病気のうち、もっとも多いのか白癬で、その原因菌が白癬菌です。

白癬とはなにか
白癬にはいろいろの病型がある
白癬は、すでにふれたように、正式には皮膚糸状菌症とよぱれることがあります。しかし、この皮膚糸状菌症とは、熱帯地方にみられる渦状癬や、一部の地方だけにみられる黄癬という、白癬菌に近縁の菌によっておこる病気もふくめて、一括してさす病名です。つまり、ケラチンを分解・利用する能力をもち、特異的にヒトや動物の皮膚の最外層(角層)
に寄生しているカどをまとめて皮膚糸状菌とよび、この種のカビによる病気を皮膚糸状菌症とよぶわけです。しかし、同じ病気にいくつもの呼びかたがあるとまぎらわしいので、本書ではこれ以降、白癬および白癬菌とよぶことにします。
ところで、白癬のなかにはさらに、いわゆる水虫として知られる足白癬のほかに、病変の部位によって、いんきんたむし(陰股部白癬)、たむし((体部白癬=たいぶはくせん)しらくも(頭部白癬)、あるいは爪の白癬(爪白癬)など、いろいろの病型があります(下の図)。

からだの部位による白癬の病名とその俗称

からだの部位による白癬の病名とその俗称

これらの病気をおこすカビが白癬菌です。白癬菌は十数種のたがいによく似た菌をふくんだグループであり、正しくは白癬菌群(あるいは皮膚糸状菌群)とでもいうべきものです。

白癬菌とはなにか

白癬菌の祖先は土の中で進化したわずらわしくなるとは思いますが、もう少しこのカビの話におつきあいください。
ヒトをふくむ哺乳類や鳥類などの皮膚の最外層を角層といい、その主な成分はケラチンという硬いたんぱく質であることは、すでに前章で話しました。
ケラチンは硬いたんぱく質なので、一般の微生物はこれを分解することができません。このことは、土の中でくだものや肉類がすぐに細菌やカビによって分解されてしまうのに、髪の毛などが長く残っていることからもわかります。
ところで、土の中にはたくさんの微生物、つまり細菌やカビがいて、土の上に落ちた大きな有機物(たとえば動物の死骸や枯れた植物など)を分解して利用しています。もしある生物が、ほかの生物には利用できない、ケラチンなどの硬いたんぱく質を分解し利用できるようになると、この生物はケラチンの多い環境、つまりケラチンをもつ生物がたくさんいる場所では、他の生物との生存競争に非常に有利になります。実際にあるカビの一群はその能力を獲得しました。それが白癬菌の祖先です。ある生物が死ぬと、その死骸は上の上にあることになります。したがって、ケラチンを分解できるカビも土の中にいることが想像できます,このことを証明した有名な実験があります。
ベルギーの故ヴアンブルースゲム教授は、あちこちの土をとってきて、そのLにウマの毛(つまりケラチンのかたまり)をおいてみました。これはヒトの毛でもかまいません。数日すると、その毛には、土の中にいてケラチンを分解・利用できるカビがとりつき、増えはじめます。このようにして教授は、土の中から白癬菌の祖先とも考えられるカビ(好ケラチン性真菌)を取り出すことに成功したのです。
現在でも、土の中を主なすみかとし、ときにヒトにもついて病気をおこす菌を、好土性菌といいます。
ところで、カビにとっては、ケラチンの供給の不安定な土の中で偶然落ちてくるケラチンを待つよりも、ケラチンをつくる生物に直接にとりつく(寄生する)ほうが効率的です。このような過程をたどって、ヒトや動物の皮膚に寄生するカビができたと考えられます。
実際に上の中から見つかったカビのなかには、現在ヒトに寄生しているカビの祖先と思われるものがたくさんありました。さらにこれらのカビの生活環(ライフサイクル)を調べているうちに、これらのカビにも、高等な動物や植物に匹敵する複雑な生活環や、環境への巧みな適応がみられることが徐々にわかってきたのです。つまり、ヒトの皮膚に白癬をお
こす白癬菌は、長い年月をかけて進化をとげてきたものなのです。

・寄生の過程でカビは複雑に進化した
カビがせっかくヒトの皮膚にとりついて一時的に増えることができたとしても、このカビはヒトにとっては異物(つまり侵入者)です。そこで、ヒトは免疫の能力によってカビを排除しようとします。
同じような異物排除の現象は、接触皮膚炎(かぶれ)を例にとるとよくわかります。
簡単にいえば、ヒトの皮膚になにか害を与えるような物質がつくと、その物質による皮膚の障害が引き金になって、皮膚にいわゆる炎症がおこります。
炎症の結果、障害されて壊れた皮膚の組織とともにその有害な物質は捨てられ、ついで修復のシステムがはたらいてもとの正常な皮膚にもどろうとします。
相手がカビのような微生物でも、同じことがおこります。ただ、カビの場合は、単純な有害物質と根本的にちがう部分があります。それは、カビが生きていて進化するということです。
すべての生物は細胞の残り中にある核酸という物質でコントロールされており、生物のすべての構造と機能はその生物のもつ核酸のプログラムで決められています。核酸が外部からの刺激によって障害をうけると、多くは完全に修復されますが、ある場合にはそのままになったり前とはちがったものへ修復され、核酸としてのはたらきをつづけます。これが一般に突然変異といわれる現象です。
一群の生物のなかに種々の突然変異をもつ個体がいると、それらの個体はそれぞれ徴妙に異なった能力をもつことになります。この能力の差は、環境がかわったときに生き残れるかどうか、つまり新しい環境に適応できるかどうかにつながります。新しい環境に適応できた生物群はそこでふたたび増えて、新しい生物群として定着します。つまり、突然変異のくり返しによって新しい生物群ができる、これが生物の進化なのです。
実際にこのように単純にいくわけではありません
が、土の中のケラチン分解能力をもつカビから、ヒトの皮膚の病原菌としてのカビまでの道のりら、このようにしてつけられたものと考えられます。
しかし、はじめのうちは、好ケラチン性真菌がせっかくヒトや動物の皮膚にとりついても、免疫の力によってたちまち排除されてしまっていたでしょう。
ですが、からだの表面の構造にある種の変化をとげたカビは、宿主であるヒトの免疫能力や、異物を感知する能力をあまり刺激しないで、皮膚の上で生活することができたものがあったと思われます。そのようなカビはヒトの皮膚の中により長くとどまることができます。そのなかで、同じようにしてさらに新しい群ができ、しだいにヒトの皮膚での生活に適
した群が発達し、ついには現在のように皮膚に寄生して生活するカビができたと考えられます。
同じような進化の現象は、病原菌として知られるさまざまな微生物でもおこったことが知られており、しかも宿主(ヒト)と寄生体(微生物)のつきあいの期間が長いほど、京王側からの排除の反応が小さくなることが確かめられています。
この関係がもっともすすんだものが、人体の常在菌といわれるものです。これらの微生物群は、人体のある場所に住みつき、新しくとりついた寄生体(その多くは有害な侵入者)がそこに定着するのを妨げるはたらきをします。つまり、宿主にとっても、その徴生物の存在が利益をもたらすような関係にまで進んでいます。皮膚に寄生する白癬菌の一部も、その一歩手前まできているとわたくしは考えています。

白癬菌にはどんな種類かあるか

現在、ヒトの皮膚に白癬をつくる原因菌として、十数種類が知られています。これらの菌の分布には、地理的な、あるいは時代による変化がみられます。たとえば、今日わが国で足白癬から分離される菌は、ほとんどが紅色菌(Trichophyton rubrum)あるいは趾間菌(Trichophyton mentagrophytes,var. interdigitale)で、この二菌種で原因菌種の頻
度の90%近くを占めています。このように、ヒトに特異的につく菌を「好人性菌」とよびます。そのほか数種の菌がときに分離されますが、非常にまれです。
紅色菌、趾間菌のほかにわが国で人体から分離される菌種名と、その本来の宿主や生息場所、ヒトにおける主な病変を下の表にあげました。

主な白癬菌種とその宿主または棲息場所、ヒトにおける主な病型

主な白癬菌種とその宿主または棲息場所、ヒトにおける主な病型

このなかで、大小胞子菌(Microsporum canis)はもともとイヌやネコにつく白癬菌として分化したものですが、この20年間に、ペットでの流行につづいて、ヒトのからだの白癬からも多く分離されたことで有名です。
疣状白癬菌(ゆうじょうはくせんきん、Trichophyton verrucosum)という白癬菌はウシのたむしの原因菌ですが、ときどき酪農家のだむしの原因となります。大小胞子菌や疣状白癬菌(ゆうじょうはくせんきん)のように動物を本来の宿主とする菌を「好獣性菌」といいます。
このように、白癬菌群という大きな菌の仲間は、その一種一種が特定の宿主に寄生する方向に分化をとげながら、なおほかの種の動物にも機会があれば感染をおこす能力をもっていることがわかります。
足白癬の患者はどれくらいいるか一真菌症の患者は皮膚科外来患者の約10%現在わが国には、足白癬の患者さんはどれくらいいるのでしょうか。これはなかなかむずかしい問題です。くすりの販売量や病院、薬局での患者数からの推定では総計1500万人程度という数字もでています。
抗真菌剤の販売量から推定する場合、販売されているくすりの名前は抗真菌剤または抗白癬剤であっても、薬局の店頭でくすりを購入する患者さんが考えているのは、ばくぜんとした「水虫のくすり」です。そうした患者さんのなかには、ほんとうの足白癬の人もいるでしょう。しかし、多くの人がいわゆる自己判断で、つまり医学的な検査をうけることなしに、かってに水虫のくすりを求めていることが知られています。したがって、この約1500万人という数字は、いまひとつあてになりません。
やはりより正確な数字は、実際に患者さんを診ている皮膚科医のデータによるものです。ただしこれも、たとえば一定地域の住民すべての検診を行ったうえでのデータはありません。そこで、ふつうは外米の患者さんのデータから類推することになります。
まず、一般的な皮膚科診療所(開業医)や総合病院の皮膚科での患者頻度からみると、皮膚科患者全体のなかで真菌症思者はほぽ10%内外です。やはり北よりも南にいくにしたがって割合が増える傾向にあります。
真菌症患者のなかで白癬全体が占める割合は90%、さらに足白癬の患者さんがこのうち70%くらいです。ただし、この数字は大きな病院と診療所ではかなりちがうので、いちおうのめやすと考えてください。実際の外米診療では、これらの患者さんのほかに、真菌症とまちがいやすい病気で受診される患者さんもいます。そこで、いわゆる真菌外来受診数は、これらよりも増えることになります。
ちなみに皮膚科の患者さんのなかでは、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎(かぶれ)などの湿疹皮膚炎群がもっとも多くて30〜40%くらい、真菌症はそれにつづいて多い病気です。

高齢者では足白癬の割合が高くなる
わたくしの勤務している長崎市立市民病院の皮膚科は、とうぜん、なんらかの皮膚の異常を主訴として来院された患者さんについての診療が主になります。そのなかには、はじめから足白癬あるいはみずむしとしてこられる人もいますが、実際にはほかの皮膚病のために受診され、たまたま足白癬が見つかるケースがしばしばです。このようにして見つかる足白癬の患者さんは、年齢とともに増えることがわかっています。
つまり、長崎市立市民病院の皮膚科において、50歳以上の患者さんの約25%が足白癬をもっているとすると、かりに日本の人口構成も長崎市と同じと考えて(実際にも中間的なサイズの都市であり、妥当と思われます)換算した場合、わが国の50歳以上の人は約4000万人で、そのうちの1000万人が足白癬をもっていることになります。
これにたいして、40歳以下では足白癬の患者さんの割合はやや減るとは思いますが、逆に人口に占める割合は高いので、少なく見積もっても全人口のうち1500万12000万人くらいの患者さんがいるということになります。
また、全人口に占める各年齢層の足白癬患者の割合は、年齢とともに高くなることがわかります。40歳以下では、この傾向はもっとはっきりしています。やはり足白癬は、皮膚科だけでなく、全人口についてもっとも大きな比串を占める重要な皮膚病といえるでしょう。しかも、いったん病院を離れると、足白癬以外にも、よく似た皮膚病が、また極端な場
合には足の皮膚病すべてが患者さんにとっていわゆる水虫として問題になります。ですから、患者さん側からみた、みかけの足白癬の頻度は、さらに高いことになります。また一部には、それまでかゆかったり湿ったりして不愉快な存在だった趾間型や小水疱型の足白癬が、年齢とともに自覚症状のない角化型(角質増殖型)になる場合があります。す
ると、症状がなくなるうえに、みかけ上も乾燥し、足の裏が硬くなる年齢的・生理的な角化傾向と区別がつかなくなります。このような場合、本人は自分の水虫は治ったと思いこんでいるケースがしばしばです。実際の足白癬の患者数や水虫の患者数がはっきりしない理由は、このあたりにもあるようです。
長崎市立市民病院の皮膚科のデータからは、現在、以下のようなことがいえます。
①足白癬の患者の割合は年齢とともに増えていく
②外米で診る足白癬の患者は、ほとんどがそれまでになんらかの治療をうけている。一度足白癬にかかって完治した人はほとんどいない
③つまり高齢の人ほど長い期間足白癬をもっている傾向が強く、しかも年とともに角化型や爪白癬をもつ人の割合が高くなる

症状の軽い潜在的患者が多い

以上のことから、結局、足白癬治療のいちばんの問題点は「いったん足白癬にかかった患者さんは、完治しにくい」ということになります。少なくとも、これまではそうでした。
皮膚科の外来ではたくさんの患者さんが治療をうけており、毎年のように新しい抗白癬剤や抗真菌剤が市場に出てくるのに、なぜこのようなことがつづいているのでしょうか。足白癬の治療薬はそれこそ、掃いて捨てるほどありますし、新しい治療薬や治療法の開発も、ほかの病気に劣らず行われてきたと思います。では、どこかにまちがいがあるのでしょうか。足白癬治療における問題点を、もう少し深く考えてみたいと思います。

外来患者における年齢層別足白銅患者頻度(1968〜83年、国立仙台病院)

外来患者における年齢層別足白銅患者頻度(1968〜83年、国立仙台病院)

図4は、国立仙台病院皮膚科の笠井達也先生のデータを簡単にしたものです。これをみると、40歳代以下の年齢層では足白癬をもつ人の割合そのものは低いのですが、人口は逆に多いので、結局、人生の活動期・生産期の人びとのなかに足白癬の患者さんがたくさんいることになります。活動・生産期の人にとって足白癬が重大な皮膚病あるいは職業病であるとされる理由は、ここにあるのです。
ところで、これまでに示したデータは、全人ロのなかにどれくらい足白癬の患者さんがいるかというものでした。このなかには、じつは潜在的な患者数もふくんでいます。
つまり、これらの患者さんのなかには、確かに足白癬ではあるが、症状そのものは非常に軽く、極端な場合には本人も気がついていないような人も多いのです。つまり、足に白癬をもっている人と、実際に患者として皮膚科を訪れる人とは、いくぶんちがっているということです。そして、実際に皮膚科を訪れる人は、ほとんどが現在なんらかの症状で苦しんでいる人なのです。

・初夏から急増する患者数
年間の外米患者数の季節的変化、すなわち足白癬で皮膚科にかかる人にはどのような季節的特徴があるのでしょうか。
上の図をみてください。これは最近、日本医真菌学会が行った日本各地の真菌症の統計から抜きだしたものです。ご覧のように、足白癬の外来受診者数(たて軸)は五月から急に増え、夏が終わるとともになだらかに滅っています。足白癬が、高温多湿の環境で発生することがよくわかります。
患者さんの多くは、足白癬の症状で皮膚科にかかった入、いいかえれば、この時期に症状がでたか悪くなったために受診した人です。そして、治療によって症状がなくなると受診をやめ、翌年また同じことをくり返すというパターンを示しています。このことは、あとでのべる足白癬のケアやコントロールに際しての重要なヒントになります。

皮膚科医からみた「水虫」とは

重要なわりにおろそかにされがちな「水虫」ここで、皮膚科医の立場からみた水虫にふれておきます。
まず、さきにのべたように、水虫とは一般的な意味では、足にできて、皮膚がはがれてくる皮膚病の総称です。確かに、そのなかでは白癬菌による皮膚病変つまり足白癬がもっとも多いのですが、そのためややもすると、いわゆる「水虫」イコール「皮膚科的な足白癬」と思われがちです。あるいは、「水虫」イコール「足白癬」という立場の皮膚科医もいるというのが正しいでしょう。このため、医師と患者さんのあいだでくいちがいがおこることについては、さきにの、べたとおりです。
次に、これは少々残念な話ですが、水虫は皮膚科医と患者さんの双方にとってかならずしも収要な病気ではないということがあげられます。
水虫の患者数は、皮膚科外米患者の10%以上を占めるほど多く、しかもなかなか治りにくい、手間のかかる病気です。しかし、実際にはこの治りにくさが、かえって皮膚科医の治療にたいする熱意をそぐ結果にもなっているといえます。
また、病気じたい命に別条あるわけではなく、みずむしになっても長くたつと、かゆみなどの症状が少なくなることもあって、診断をつけたら、くすりを処方しておしまい、ということになりがちなのです。
さらには治療に際して、作用捨印や剤型・の似た薬剤が多く、治療法が画一的に近いことも、これらに拍車をかける結果となっているようです。
・根気がつづかす、再発をくり返す
治りにくいということは、いったん治療によって症状が治まったあと、再発が多いということにもなります。肖発を防ぐためには、皮膚の症状がなくなってほとんど正常に近い状態になっていても、なお診察をつづけ、くすりを処方しなければなりません。
しかし、症状が消えると、ほとんどの患者さんは治療をやめてしまいます。つまり、治療の根気がつづかないわけで、これが足白癬の再発をくり返す理由のひとつです。本人にその気がないのに、皮膚科医だけがなんとか患者さんに治療をつづけさせようと説得し、工夫をこらしているわけですから、実際にはあまり望みはないのかもしれません。病気の治療は、あくまで医師と患者さんとの共同作業なのです。

・ほかの病気の引き金になったり、まわりの人に感染させることもある
このような水虫が皮膚科医にとって重要な意味をもつ場合があるとすれば、からだのほかの部位の病気の引き金になることと、まわりの人にみずむしをうつす場合という点です。
中年以降の人で頭や顔に白癬(たむし)ができたときには、感染源として足の白癬を調べることは非常にたいせつです。わたくしの経験では、中年以上の男性のひげの部分に白癬ができた場合、患者さんすべてに足白癬が見つかりました。そして、患者さんのほとんどは、外米診察時に自分で足白癬をもっていることをいわないか、あるいは自分が足白癬をもっているのに気づいていませんでした。
外米で子どもの足白癬を診た場合、その家庭に足白癬の患者さんがほかにもいることはまずまちがいありません。このような状況を明らかにし、足白癬感染の効果的な予防法を考えるのも、皮膚科医の仕事です。
足白癬を未処置のままにしておくと、病巣がしだいに広がるだけでなく、ついには爪にまで侵入し、爪白癬となります。治療のところでとりあげますが、爪白癬は現在でももっとも治りにくい白癬の病型です。
また、糖尿病の患者さんでは、足白癬や水虫がきっかけとなって、もっと急激で症状の強い細菌感染をひきおこすことがあり、ひどい場合には足を切断しなけれぱならないことさえあります。
このように、水虫はみかけ以上に皮膚科医が注意して扱うべき病気だ、とわたくしは感じています。
そして、わたくし白身の感想をいえば、白癬という病気は、白癬菌とヒトというまったくかけ離れた生物が、知らず知らずのうちにたがいの生活面で干渉しあいながら、それぞれ程度の差はあれ共存関係を保っている状態をいう、非常に興味深いものなのです。

白癬菌の感染のしくみ

どのようにして白癬になるのか
はじめに書いたように、足白癬とは、ヒトの皮膚に白癬菌がつき、それが増殖することによっておこる皮膚の病気です。ですから、「どのようにして病気になるか」ということは、結局「どのようなところに菌がいて、どのようにしてヒトの皮膚につき、どのような条件で増えるか」ということになります。

ヒトの周囲にある白癬の感染源
生まれてすぐの赤ちやんにはとうぜん、足白癬はありません。その成長のどこかの時期に、あるいは大人になってから、なんらかの機会にカビにとりつかれるわけです。では、足白癬の原因となるカビは、どのような場所にいるのでしょうか。
すでにふれましたが、ヒトの白癬の原因になるカビは、その本来の宿主や生息場所によって好土性、好獣性、好人性に分けられます。実際の患者さんについても、たとえば好土性のカど、石膏様小砲子菌によるたむしは、土の上で遊んだあとや上のついた動物にさわったあとなどに発病することが知られています。これにたいして足白癬の原因となるカビは、ほとんどが好人性に分類されるものです。

・一見健康なペットも白癬菌をもっていることがある
まず、ヒト以外の動物を例に、白癬がその集団内でどのように保持されているかをみてみましょう。ヒト以外の動物を本来の宿主とする白癬菌を好獣性(白癬)菌といいますが、その一種について最近興味深い現象がみられました。
大小胞子菌というカビがあります。同じ菌にたいして描小胞子菌という同義語があるように、このカビはもともとイヌやネコのたむしの原因菌です。
この菌は1970年代から、おそらく輸入ペットについてわが国に持ち込まれ、しだいに日本全国に広がり、ヒトにも多数のだむしの患者さんをつくりました。この菌を例に、もっとも多くみられる飼いネコからヒトヘの感染をみてみましょう。
まず、ネコ同士の感染は、ペット店のオリの中や、家庭やその近くでのおたがいの接触によっておこるものと考えられます。
ネコの場合、このカビによる皮膚病はたむし、つまりネコの顔やからだの斑点、あるいは脱毛としてみられます。とくに子ネコがはじめてこの病気にかかると、症状が強くでます。このような病変部から皮膚や毛を取って検査すると、多数の白癬菌が寄生していることがわかります。
自然界では、このようなネコはなにも治療をうけませんが、それでも成長とともに症状は自然に軽くなり、ついには一見まったく治ったようにみえます。
しかし、このような一見健康なネコからも、いろいろな方法で白癬の原因菌であるカビを見つけることができます。これらのネコは白癬が完治したわけではなく、単に健康な保菌獣となっただけなのです。
この状態は、そのネコが治療をうけないかぎり一生つづくものと考えられます。つまり、こうしたネコは病気ではないが、病原菌はもっている、という状態になり、まわりに菌をばらまきつづけるのです。そして、菌をもっているネコにふれたネコはもちろん、まわりにまきちらされた菌にふれたネコにも菌は感染していきます。こうして、この菌はペットのあいだで保たれているのです。
たまたまこの菌をもった飼いネコがいると、その飼主も同じ菌に汚染され、一部の人は目にみえるたむしにまですすみます。
しかし、菌がついたからといって、すぐだむしになるわけではありません。たむしになるには、まず病気をおこすのに十分な菌が皮膚につく機会があり、また洗い落とされたりせずにしばらくは皮膚の表面にとどまらなくてはなりません。しかも適当な温度と湿度によって増え、皮膚のある程度の深さに侵入できるまで放置されるという条件も必要で、偶然の
機会がたくさん積み重ねられなくてはならないのです。
そうなるとおそらく、子ネコをだく機会の多い子どもや女性がたひしになりやすいことになり、しかもネコにふれやすいあごや首、腕などに病変をつくりやすいと思えます。実際の患者さんをみると、まったくそのとおりになっています。したがって、皮膚科医はたむしの皮疹の分布と皮疹そのものの性状から、大小胞子菌による感染症と推定できるほどです。もっとも診断の確定のためには、あとにのべるように一連の良菌学的検査が必要になります。
ここで皮疹そのものの性状といいましたが、これは、犬小胞子菌によるたむしには、その菌独特の症状があるということです。
たとえば、ヒトに寄生する好人性白癬菌としてもっとも重要な紅色菌によるたむしは、炎症が少なくて、一つひとつの病変の中央部に軽い湿疹のような変化や色素沈着が残る、わりあいおだやかな症状です。これにたいして、大小胞子菌によるヒトのたむしは、皮膚の赤みが強く、小水疱をつくるなど炎症が強いことを特徴としています。また、大小胞子菌のたむしは、一個一個の病変も小さく、それがいくつかちらばってできるのが特徴のひとつですが、これは炎症が強いために比較的早い時期に気づくことが多いことにも一因があるのでしょう。これらの現象は、寄生体(この場合は白癬菌)とその宿至(ヒトやイヌ・ネコ)との馴れの度合いとして理解されます。
イヌやネコを主な宿主とする大小胞子菌が偶然、ヒトの皮膚についても、これらの菌は京王の皮膚に強い免疫学的な反応をひきおこし、排除されます。
これにたいして、ヒトの皮膚の寄生に向かって分化をとげた紅色菌は、皮膚についても大小胞子菌ほど宿主(ヒト)の免疫学的な排除機構を刺激ずることはありません。そこで増えて、さらに新しい宿主に直接うつる機会も増えてきます。

ヒトと白癬菌の関係はどのようなものか

ヒトとまわりの環境のなかの好人性白癬菌についてみてみましょう。
■居住環境にばらまかれた菌か主な感染源になる土の中や動物の皮膚の病変から直接ヒトの皮膚についた白癬菌がそこで増殖し、病変をつくる可能性のあることについてはさきにのべました。同じように、ヒトの皮膚の病巣の菌が直接ほかの人の皮膚について、新しい病巣をつくる可能性も十分あります。
しかし、動物の白癬の場合とちがって、ヒトの足の白癬については、足の病変が直接ほかの人の皮膚にふれる機会は、親子などの場合でもあまりありません。そこでいったんからだの別の部分に白癬(たむしなど)ができ、これがさらに足に飛び火するか、あるいはほかのルートで足に菌がつくことが考えられます。しかし、足白癬の患者さんに話を聞いてみると、ほとんどの人がはじめから足白癬としてはじまっているので、まずたむしができて、それから足に広がるというケースはあまりないと思われます。
やはり、わたくしたちのまわりに菌がいて、それが足につき、さらに増えて足白奮をつくると考えるべきでしょう。
もっとも可能性がありそうなのが、裸足で多くの人が歩きまわるプールや浴室です。事実、このような場所で床のゴミを集め、特殊な方法でその中から白癬菌を見つけだしたレポートはたくさんあります。靴下や靴、サンダルなど、履き物を共有するのも、感染の機会を大きくするでしょう。
足白癬の患者さんの足を、白癬菌用の培養基の表面に押しつけると、培養基に菌が生えてきます。また、綿棒などで足の病変部やそのまわりの皮膚をこすり取り、培養基で培養すると、同じように菌の生育がみられます。ですから、足白癬の患者さんから環境中に菌がばらまかれていることはまちがいありません。
次に、周囲にばらまかれた白癬菌が、どれくらい生きられるかも問題です。このほうは、実験によって証明することはなかなか困難です。実験的に、乾いた場所においた白癬菌が数か月生きていたというレポートがありますが、わたくしが調べた範囲では、足白癬の病変部の表面の皮膚をガラスびんの中に入れておくと、皮膚の中の菌は1〜2か月で死んでしまいました。またいっぽうでは、足白癬の患者さんの家庭のゴミからも、そう多くは白癬菌は見つかりませんし、とくに治療後にはほとんど見つからなくなります。そこでわたくしは、よほど条件のよい場所でないと、白癬菌は数週間ほどしか生きられないと思っています。

■共同生活は「水虫」の広がる場をつくる
集団生活のなかで実際に、どのように足白癬の患者さんが発生するかをみるのも、参考になるデータです。
わたくしは、以前ある施設(寮)で二十数名の女性に足白癬が集団発生したケースを調べた経験があります。みた目には、確かに足の指のあいだが白くふやけていたりぽろぽろと皮がむけたりする、いわゆる水虫の人が約半数いました。しかし、原因菌をくわしく調べてみると、顕微鏡で菌が見つかったのはわずか数兆だけで、しかもそれらはかならずしも一つの菌種ではありませんでした。つまり、一人の患者さんからほかの人に広がったとは考えにくいデータです。
水虫が多発したのは、そこの女性がいつもはいているユニホームの靴に原因があると考えました。患者さんを治療するいっぽうでなるべく足を清潔にして乾かしておくように指導し、問題はなくなりました。
このことは、あとでのべる水虫のコントロールの大きなヒントになりますが、この際、ひとつ興味深かったことは、みた目にまったく水虫らしい変化がない数名の女性からもさまざまな白癬菌が見つかったことです。このことは、集団生活などでは、患者さんの病変部からばらまかれた菌によって、まわりの人に足白癬の患者さんがでる可能性のあることを示しています。この経験は、集団生活でのみずむしのコントロールに際して貴重なヒントを与えてくれました。
さらに小さな集団、つまり水底ではどのようになっているのでしょうか。
まず外米で足白癬をもつ子どもさんをみた場合、その両親、とくに父親に足白癬が見つかる割合が非常に高いということがあります。一般に子どむの足白癬はあまり多くないので、このことは足白癬が家庭内で感染することを強く示唆しています。
そこで、いろいろな病気でわたくしたちの外米を訪れる患者さんのなかから、足の皮膚にみた目にはまったく変化のない子どもさんを選び、白癬菌の分離を試みました。同時に、これらの子どもさんについて、その家族(とくに父親)に水虫がないかをたずね、できればわたくしたちの外来で実際に足を検査するか、あるいはこうした人がかかっている皮膚科医に問い合わせるなどして、足白癬の有無を確認しました。
おもしろかったのは、これらの子どもさんを、家族のなかに足白癬患者のいるグループといないグループに分けた場合、足白癬のいるグループに、皮膚に変化はないが白癬菌をもった子どもさんがやはり多かったことです。
これらのデータは、共同生活の場あるいは家庭が足白癬のうつる場となっていることを示しています。
同じような状況は体育館やプール、あるいは工場の一室などでもおこっているでしょう。

菌の侵入・増殖にたいする宿主の反応は一様ではない

もっとも興味深いことは、実際に足白癬の症状がなくても、白癬菌をもった人が予想以上にいることがわかったことです。もっとも、この場合の菌の数あるいは密度はさまざまです。さきにのべた綿棒による採菌法で、一培地の上にやっと1〜数個の集落をつくるものから、数十個の集落をつくるものまで個人によって大きな差がありました。それでも、ふ
つう、足白癬の患者さんからは無数の白癬菌の集落が得られるのにくらべると、少ない数でした。
つまり、環境のなかにばらまかれた白癬菌は、それがヒトの足についたからといって、すぐに足白癬をおこすわけではないのです。いったん皮膚についた菌が洗い流されることなく生育につごうのよい条件を得たとしても、角層に定着して増殖するには、一定の期間が必要なのです。
「なんだ、とうぜんではないか」と思われるかもしれませんが、このような現象は、皮膚だけでなく、あらゆる臓器の感染性疾患に共通しておこっています。からだのあらゆる部位の感染症でも、原因となる菌が宿主についた場合、かならずしもすべての人が病気になるわけではありません。一部の人では、菌がついてある程度増えても、抵抗力のほうが強く、
菌による発病を抑えてしまいます。発病するのは、菌のほうが強く、とりついた場所で京王の抵抗力をはねのけて増え、菌の数が一定以上になる場合です。このように、菌が生体にとりついてから実際に発病するまでの期間を、一般に潜伏期とよんでいます。
この潜伏期の長さは、病原菌の種類によって差があり、短いものでは、急性伝染病といわれる2〜3日のものから、長いものでは、ハンセン病などの数十年というものもあります。そして、一般に急性で激烈な経過をとるものでは潜伏期が短く、逆に潜伏期の長い菌では症状がおだやかで、生命にかかわるような重い病気をおこすことは少ない傾向があります。
これも一面では、寄生菌と宿主と馴れの関係を表しています。
白癬菌の潜伏期は、足白癬の場合、はっきりとはわかりません。さきにのべた、犬小胞子菌によるたむしの場合、からだのなかでも角層のうすい部分に生じるためもあるでしょうが、ふつう1週〜数週間後に症状がでます。これにたいして、ヒトを主な宿主とする紅色菌によるたむしは、もう少し潜伏期が長いと思われます。
わたくしが皮膚科の外米で実際に経験したところでは、足の白癬の潜伏期はわかりにくいのと同時に、人によってばらつきがありすぎます。つまり、白癬菌による感染は、一般的な感染症とは異なって、菌の侵入・増殖にたいする宿主側の反応が一様ではないのです。確かに人間は実験に使われるマウスほど均一な反応を示す集団ではありません。しかし、感染力(あるいは一般に毒力)の強い菌、たとえばコレラ菌や子どものはしかウイルスが人体に侵入したときには、す、べての人がだいたい同じように反応し、同じような経過で病気になります。これにくら、べれば、足の白癬菌の潜伏期や症状のでかたはあまりにもちがいすぎています。人体のある程度きまった反応以外に、なんらかのほかの影饗がはたらいていると考えることができるでしょう。

■靴の使用か足の白癬をつくった
白癬菌が皮膚についてもかならずしも発病にまで至らないとすると、逆に発病するためにはいくつかの条件がそろう必要があることになります。わたくしは、ヒトの足白癬の場合、足の皮膚についた白癬菌が増えて病気をおこすようになるには、ヒトの側の、とくに局所の条件が大きく影響すると考えています。
白癬菌が手の皮膚についた場合、多くの人は一日数回手を洗いますし、手はいつも乾いた外界の空気のなかで動いていますから、手の白癬は足のそれよりもずっと少ないのはうなずけることです。
白癬菌が皮膚についたあと発病へとすすむ条件としてもっとも大きなものは、皮膚表面の温度と湿度が白癬菌が増える好適なものに保たれているかどうかではないかと思います。
白癬菌が足で発育するのに十分な温度と湿度、これは、まちがいなく、人類が靴をはく生活をはじめたためにつくりだされた環境です。そのような環境さえなければ、つまり靴をはく習慣さえなければ、たとえ足の皮膚に白癬菌がついて少し増えたとしても、足白癬として症状をひきおこすほどには菌は増殖できなかったと思います。このように考えると、足白癬は靴をはく習慣によってつくりだされた皮膚病のひとつといえます。
人類が靴をはきだす前には、ヒトに寄生できるように進化した白癬菌群も、陰股部や有毛部、あるいは足などの角層の厚い部分で、症状をあらわさない程度に宿主と共存していたことでしょう。そしてこの状態では、白癬菌群は自分たちがだす代謝産物によって、ほかの種(とくに病原性)の細菌や真菌がその場所に定着するのを妨げる常在菌の一員として、われわれとある程度まで共利共存の状態にあったとさえ考えることができます。
白癬菌群が他種の細菌の発育を抑える物質(抗生物質)をだすことは、実験的にも確かめられています。
読者のみなさんのなかには、ペニシリン発見の逸話をご存じの方も多いでしょう。イギリスのフレミング博士は、ペニシリウム属の青カビの周囲に細菌が生えないことを偶然発見し、これから抗生物質として役立つペニシリンを発見しました。このペニシリウムと白癬菌群とは、じつは分類上近い菌なのです。
ところで、靴をはじめとする履き物を用いるようになると、とうぜん足の指のあいだの温度と湿度がもっとも高くなります。つまり、新しくカビの増えやすい環境ができたわけです。この時期から、みずむしあるいは足白癬が、われわれになじみ深い病気のひとつとして登場したものと思います。
いっぽう、産業衛生の面からは、安全のための厚い靴を一日中はくことを強いられた作業環境で、足の指のあいだの皮膚病が大きな問題になっています。靴の中の高温多湿の環境では、微生物が増え、皮膚病をおこします。そのなかで白癬が大きな部分を占めているのも当然のことでしょう。文明病としての足白癬、わたくしたちはこの意味を十分に認識する必要があると思います。
局所に菌がついて増えることはあっても、実際の発病にはそれ以外の条件が大きく影響するという状況は、足白癬にかぎらず、いわゆる常在菌の感染症に共通してみられる現象です。こうして生じた病変の治療は、まず局所の条件の改善が必要なこと、病気が軽くなっても、残った少量の菌の根絶がむずかしいことなどもまた特徴です。
足白癬の状況は、これに非常によくあてはまります。つまり、好人性白癬菌の一部は、すでに常在菌に近い性格をもつものと考えられるのがその理由です。
常在菌が病原菌としての性格をあらわすためには、その菌が増えるのに有利な条件が必要です。白癬全般でいえば、悪性リンパ腫や免疫不全、糖尿病、肥満などが、また足白癬についていえば、足(とくに指のあいだ)の高温多湿の環境が、この条件にもっとも大きな役割を果たします。このことは足白癬の発病のみならず、その治療、あるいはケアに大きな比重を占める問題です。

足白癬、爪白癬の症状と検査・診断

足白癬にはどんな症状がみられるか
ふつうのかぶれにくらべて、症状が複雑になりやすいすでにのべたように、白癬は皮膚の最外層(角層)の中に白癬菌が住みつき、それにたいして炎症性の反応がおこったものです。これはちょうど、皮膚の表面になんらかの化学物質がつき、それに皮膚側から反応がおこった状態とよく似ています。このような状態を接触皮膚炎、一般にはかぶれといいます。
つまり、足白癬と接触皮膚炎は基本的な症状は同じなのです。
ただし、少し異なっている点もあります。足白癬は、足の指のあいだなどの湿度の高い場所からはじまり、そこでカビ以外の微生物(とくに細菌)が同時に増えたり、あるいは足白癬に使用したくすりの刺激で皮膚炎が重なったりと、いろいろな症状が混じりあった病像がみられることです。このことはとくに足の指のあいだ(趾間)でよくみられます。

水虫の3タイプ

水虫の3タイプ

 

■足の指のあいたに症状か集中する趾間型

足白癬はほとんどが足の指のあいだからはじまります。やはりここがいちばん白癬菌がつきやすく、湿気が多いためにカビが生えやすいのでしょう。この部分の皮膚がぽろぼろとむけたり、やわらかく白くふやけて厚くなり、さらにひどくなるとひびが入って割れ、赤くただれた皮膚がのぞきます。周辺は皮膚がめくれているのがふつうです。
このようなひどい症状は、足の先をしめつけるような履き物をはきつづけたときや、生まれつき足の指が太くてたがいにくっつき合っており、いつもそこが湿りやすいという人に多いようです。その部分が乾いて治ってきたときやお年寄りでは、症状が軽く、うすい膜のように表面がはげているだけのこともあります。
このような病型を趾間型足白癬といいます。
この病型で注意すべきことは、ほかの原因でおきた変化、つまり白癬菌以外のカビによるものや細菌によるもの、あるいは単に湿った環境にいたため皮膚に変化が生じた場合などと、みた目ではまったく区別できないことです。ときにはさきに足白癬があり、二次的な細菌の感染によって悪臭のある分泌液がでたり、特殊な細菌の感染によって青みをおびた
分泌液をみることもあります。感染した細菌の種類によってにおいや色がかわりますが、一般には皮膚の表面にふつうにいるぶどう球菌類や場内に住んでいる細菌の感染がよくみられます。
このようなひどいびらん部には、ふつう白癬菌はいません。つまり、はじめのころの症状の軽い時期には患部に白癬菌がたくさんみられるのにたいして、状態がすすんで湿りけが強くなると細菌の活躍のほうが盛んになり、皮膚の障害も細菌によるものが中心になります。これは、いわゆる重症の水虫の治療に際してたいへん重要なことです。一見趾間型白癬にみえてそうでないものに抗白癬剤を使うと、逆にいっそう悪化することがしばしばです。診断と治療の面でもっともむずかしい病型‐こいえます。

足の裏に水ぶくれをつくる小水疱型(しょうすいほうがた)

病変が足の裏や足の縁に広がると、そこに小さな水疱(水ぶくれ)ができてきます。ふつう2〜3mm以下の小さいものですが、ときには1mくらいの大きさになることもあります。
小水疱をつぶすと、透明な、わずかに粘る液がでてきます。この液ににおいのないことも、足白癬の特徴のひとつです。この液の中にももちろん、足白癬の原因であるカビが少しはふくまれていますが、この液がからだのほかの部位やほかの人の皮膚について病気が広がることは、まずないと考えてよいでしょう。

小水疱はしばしば、とくにできはじめにかゆくなり、かくとかゆみがさらに強くなる傾向があります。
かゆみは炎症の結果です。そこで、炎症が少なくなった時期やもともと炎症をおこすことが少ない寒い地方では、足白癬はかゆみのないこともよくあります。
このような症状のものを、一般に小水疱型足白癬といっています。
小水疱がたくさんみられるのは、ほとんどが足白癬の初期のうちです。そのあとは乾燥して褐色の小さい斑点ができたり、小水疱の膜の部分が破れて輪状の角質の輪が残ります。ときにはこの褐色の斑点の時期がみられず、いろいろのかたちに皮がはげているだけのこともあります。また、皮のはげたなかに、小水疱が少し混じっていることもあります。足
白癬が手に広がると、多くはこの型になります。たいていの場合、片方だけの手のひらに軽い角化と皮膚のむけた状態がみられます。
小水疱は足の裏のどこにでもできますが、おもしろいことに足の裏全体に広がることはありません。また、小水疱のサイズがそろっていないのも特徴です。したがって、もし足の裏の広い範囲に粒のそろった小水疱や膿疱(膿をもった小水疱)ができていれば、むしろ足白癬以外のものと考えるべきです。
足白癬で小水疱のできる場所は、どちらかといえば足の指の近くが多く、もし上ふまずだけに水ぶくれができているようなら、冷艶膿疱症などの別の病気が考えられます。この場合でも、小水疱や膿疱は時間とともにしだいに褐色のやや硬い斑点になり、さらにそれがはげると輪状に白く皮のむけた状態になります。
原因菌の面からいえば、趾間型は紅色菌と趾間菌とがそれぞれ半々くらいなのにたいし、小水疱型では趾間菌がいくぶん多くみられます。

足の裏の皮膚が厚くて硬くなる角化型

足白癬をあまり治療せずに放っておいたり、高齢の患者さんでは、趾間型や小水疱型の病変をくり返すうちに、全体として皮膚の角層が厚くなってきます。皮膚の角層だけが厚くなると、その一部はひび割れをおこし、白い線がみられるようになります。このような変化がすすんだものを角化型足白癬といいます。
角化型にもいろいろ程度があり、足の裏の一部だけに軽い狗化がみられるものから、足の裏全体が強い角化ときれつを生じ乾いた白い粘土をつけたようになる、もっとも重症なものまであります。
角化型の患者さんでは、指のあいだはむしろ乾いて、一見病変がないようにみえることもあります。また、この病型ではしばしば爪の変化、つまり爪白癬もみられます。この型の足白癬はかゆみがないため、とくに高齢の患者さんでは足白癬と気づかずに放置されていることがあります。
角化型は足の縁では角化が減り、さらに、足背まで広がったものは、輪をかいた紅い斑と、ときに小水疱が混じりあっています。つまり、からだのほかの部位にみられるたむしと似た症状になるのです。

爪に白癬菌が侵入する爪白癬(爪水虫)

足白癬が長くつづいていると、爪の中に菌が侵入して爪白癬となることがあります。爪白癬はほとんどが足白癬につづいて発病するのです。
爪白癬になると、爪は白くなり、爪甲の下の角層の部分が厚くなります。白癬菌によって破壊された爪甲に空気が入るための現象です。これは、どちらかというとこ爪の光端のほうから変化がはじまりますが、おそらく爪甲へ白癬菌が侵入した場所と関係があるのでしょう。しかし、最後には爪全体に白色の変化が広がり、ときに黄褐色や黒褐色になることも
あります。
爪の厚さはさまざまで、ほとんど正常に近いものから、極端に厚くなって鳥類の爪のようになることもあります。爪甲の表面に細かいたてじわができることもあります。
爪甲に菌が侵入して変化がおきると、いずれ爪甲は壊され、凸凹の爪床部分がみられるようになります。このような変化は、足の爪のどこにでもおこります。爪白奮では、爪甲の変化や崩壊が強くなっても、そのわりに爪の周囲は炎症が少ないのが特徴です。
ときには、爪をドアにはさんだりして傷つけたあと、爪白癬になることもあります。この場合、変化を生じた爪の数が1〜2本だけのこともあり、外傷にまどわされて爪白癬を見逃すことがあります。ただし足の小指の爪の変化は、とくに足白癬の患者さんでなくても、単に履き物による慢性の軽い刺激だけでもおこるとされています。
足や爪の変化は、足白癬や爪白癬だけの特徴ではありません。ほかのいろいろな皮膚病でも、似たような変化がみられます。

「水虫」が疑わしいときはどうすればよいか

■きちんと治すためには、きちんと原因を知るもしあなたや家族のだれかの足に皮膚病ができたら、どうすべきでしょうか。
さきにもふれましたが、足の皮がむけたり、足がかゆい皮膚病を一般に水虫とよんでいます。足にできる皮膚病のすべてが足白癬ではありません。
したがって、足の皮膚病をきちんと治すには、まずその皮膚病がどんな原因でできたものかを知らなければなりません。
皮膚病の原因を見分けて治療に結びつけるのは、一般に皮膚科医の仕事です。しかし、実際には、とくに足白癬にかんしては、皮膚科医以外の医師が治療にあたったり、極端な場合、患者さん白身が判断し治療されていることが多いものです。ですが、「もちはもち屋」の言葉どおり、やはり皮膚病は皮膚科の専門医に一度は診てもらってほしいものです。

どんな施設で診てもらえばよいか

皮膚科専門医の見つけかたや選びかたについては、いろいろのところでのべられていますので、簡単にのべます。いわゆる総合病院で皮膚科の診療科目を掲げているところには専門医がいると考えてよいでしょうし、診療所の医師(いわゆる開業医)にも専門医の資格をもつ医師がたくさんいます。
わが国には、日本皮膚科学会の認定による専門医制度があります。この認定証は、一定以上のトレーニングを積んだと認められる皮膚科医にたいして交付されるもので、現在わが国では唯一の明文化された皮膚科専門医制度(現在約3600名程度)です。検査・診断は、こうした専門医のいる病院でうけるのがいちばんです。

病院ではどんな検査をうけるのか
■足白癬の診断は二つの段階からなる
皮膚科医がある病変を診て足白癬と診断するためには、二つの段階をふみます。まず第一は、似たような症状をもつ多くの病気のなかで、患者さんの症状が足白癬に一致することを確かめること、ついで、その病変のなかに白癬菌がいることを検査で確かめることです。
足白癬の診断に際して、まず皮膚科医は問診などを通じて患者さんの病気の経過を知り、皮膚の症状をみることで病気の原因を知ろうとします。この段階で、いくつかの考えられる病名のなかに足白癬があれば、次に検査法を選び診断を確定します。

もっとも一般的なカセイカリ鏡検法
足白癬の診断を確定するためには、その病変部に原因菌である白癬菌がいることを確かめなければなりません。
もっとも広く行われている方法は、カセイカリ鏡検法といわれるものです。まず病変部から、白癬菌が寄生していると思われる皮膚の最外層(角層の一部)をピンセットなどで取ります。みた目に白くむけた皮や小水疱の膜を取るわけで、痛みはありません。
次に、取った皮膚片をスライドガラス(顕微鏡観察用の小さい長方形のガラス板)にのせ、カセイカリを主成分とする強いアルカリ性溶液で溶かし、顕微鏡でみて白癬菌を見つけだします。この方法では特別に白癬菌だけを色素で染め分けたりすることはなく、単にコントラストの差だけでカビを見分けます。したがって、いくぶん熟練を要しますが、使用する器具も簡単なうえに、10分ほどで結果がわかるので、基本的な手技として広く用いられています。
口絵にカセイカリ鏡検法でみた角層の中の白癬菌の菌体を示しました。
検査にあたって、病巣のどの部分から試料を取ったらよいかということはたいへん重要です。
とくに趾間型の足白癬では、中央の湿って白くふやけた部分には菌が見つかりにくいことが知られています。
小水疱や皮膚のはがれた部分など、症状がよく似たほかの病気との鑑別がむずかしい場合、カセイカリ鏡検法で白癬菌がみられるかどうかで以後の治療が決定されます。

時間はかかるが、細菌感染症や難治の白癬にたいせつな培養法
日常よく経験する細菌などによる感染症では、病変部から病原微生物を見つける手段として培養法が用いられます。カビの場合、発育速度が遅く、診断できるまでに2〜3週間かかることもあり、この方法は外米の患者さんの診察向きではありません。ただし、病巣内にカセイカリ鏡検法でカビが見つかったのに治療してもよくならないときなど、病原菌やその菌のくすりにたいする感受性をくわしく決める必要があるときは、この検査が不可欠です。

専門医の薬は目的に応じて使われる
かぜや頭痛と並んで、水虫はもっともありふれた病気のひとつです。そのためか、どうしても自分で『まずくすりを塗ってみる」ような治療をされがちです。この場合、くすりの多くは街中の薬局で買い求められた、いわゆる大衆薬です(OTC薬ともいう。店で売られているくすりという意味)。
このOTC薬の水虫のくすりは、ほとんどか抗翼菌性物質を主剤とし、かゆみをとめるための抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤などを配合したものです。
いっぼう、皮膚科医か使うくすりは医家向け薬品とよばれ、市販前にその作用や有用性、副作用などが厳重にチェックされたうえで厚生省の承認をうけたものです。内容的には、
原則として抗真菌作用のあるくすりだけかふくまれており、くすりの濃度はOTC薬よりも高くなっています。
つまり、医家向け薬品は主剤の切れ味をよくするようにつくられており、OTC薬は主剤の効力を下げて、副作用などかおこりにくいようになっているともいえます。
このように考えると、OTC薬と医家向け薬品にはくすりの濃度以外にそれほど差かないようにも思えます。しかし、一般にみずむし薬といわれる外用薬の主剤はあくまで抗真
菌剤ですから、いわゆる水虫といわれる皮膚の状態のなかにふくまれている足白癬以外の病気のときや、あるいは足白癬でも細菌の感染やかぶれなどか加わっているときには、
まったく効きめかないばかりか、逆に病状をさらに悪化させることさえあります。
皮膚科の専門医は、いわゆる水虫のなかから白癬菌によるもの、つまり足白眉を選びだして、それにもっとも合うくすりを見つけたり、足白癬でない場合には診察によってその皮膚病の原因を判断し、その病気の症状や愚者さんにもっとも適したくすりを用いて治療しようとします。この意味でも、きちんと専門医の診察をうけてほしいのです。

足白癬とまちかいやすい皮膚病にはどんなものがあるか

足にはいろんな皮膚病ができますが、そのいくつかは足白癬とまちがいやすいものです。治療をはじめるときは、足白癬とこうした皮膚病をきちんと区別しておく必要があります。区別の必要なものは、次のようなものです。
■生理的な変化が足白癬にみえるとき
まず、ある程度生理的な変化なのに、足白癬に近い症状を示すことがあります。だれでも年をとると、足の皮がしだいに厚く硬くなり、ひび割れたり、白くむけたりしがちです。こ
のような変化が生まれつきでやすい人もありますし、また糖尿病や足のむくみのある患者さんではとくに強くでがちです。症状としては、軽症の角化型の足白癬とまちがわれやすく、注意が必要です。逆に、軽症の足白癬をこのような変化とまちがえて見逃すこともあります。
たこやまめなどにもいちおうの注意が必要です。たこやまめはそれじたい足白癬とまちがわれるほかに、とくに足白癬があるお年寄りにたこやまめができやすくなるからです。このため、皮膚科医はカセイカリ鏡検法を気軽に行うような習慣をつけて、このような病気を見逃さないようにしています。

・湿った足の指のあいだに細菌が増えたとき足の指のあいだは湿らせておくだけで、とうぜんのことながら白くふやけてきます。
皮膚の表面にはもともといろいろな種類の細菌やカビなどがついています。これらの微生物は、健康で正常な皮膚についているときには、なんの害もおこしません。しかし、なにかの原因でこれらのなかの一種が極端に増えて皮膚に障害をあたえるようになると、問題が生じます。

常在菌や腸内菌の感染
足の指のあいだが湿ったままになっていると、足白癬とは無関係に同じような症状がおこります。このときに増える菌はとくに決まったものではなく、職業や日常の習慣などによってちがいがあるようです。その多くは、皮膚の表面や粘膜にふつうにいる菌(常在菌)や場内細菌などで、ふだんはとくに病気の原因とはならないようなものです。いずれにしても、このような細菌が増えると、指のあいだのただれはさらに強くなり、悪臭を発したり、菌の種類によっては色がついたりします。さらにすすむと、足の指のあいだのびらん(ただれ)が悪化すると同時に、足から下腿へと炎症がおよんだり、大腿のつけ根のリンパ節に炎症をおこして痛んだりすることがあります。
このような症状を足白癬から区別する方法はただひとつ、そこに白癬菌がいるかどうかを見分けることです。趾間型の足白癬の項でもお話ししたように、趾間型足白癬を湿らせたまま放っておくと、しばしばそこで二次的に細菌が増えて強い炎症をおこします。そして、ここにのべた場合とまったく同じ症状をあらわすようになります。この点から、むしろわたくしは、趾間型足白癬とよばれるものは、湿気をおびやすい足先の条件のもとで白癬菌と種々の微生物が共同でっくりあげた複合病変であると考えています。そのなかで、皮膚が乾燥するにつれて白癬菌が、また湿度が高くなるにつれて細菌類が、主役を演じるようになると考えています。

紅色陰癬
紅色陰癬(エリトラスマ)という、細菌感染による病気があります。主に足の指のあいだの皮膚が細かい皮片になってむけてくるもので、かゆみはほとんどありません。症状からだけでは軽症の足白癬との区別は困難ですが、おもしろいことに、この病気にかかった皮膚を特殊な紫外線(長波長紫外線=UVA)で照らすと、きれいな紅色の蛍光がみられます。また、カセイカリ鏡検法で白癬菌のみられないことも鑑別点になります。細菌を抑える抗生物質で治すことができます。

ピッテッド・ケラトリシス
細菌が主役となるものでは、ピッテッド・ケラトリシス(pitted keratolysis)という病気もあります。よい訳語がないので原語のまま使いますが、やはり細菌によって足の裏に虫食い状の小さいくぼみができる病気です。かゆみはなく、汗などで過度に湿った状態がつづくときにできます。主として若い人の病気で、治療はむずかしくはありません。

白癬菌以外のカビが感染したとき
足白癬によく似た症状は、じつは白癬菌以外のカビでもおこるのです。この場合、病変はほとんど足の指のあいだか爪にかぎられ、指のあいだでは白くふやけた病状となります。感染するカビは、カンジダとよばれるものがもっとも多く、このほかに外国(とくに温暖地)ではヘンダーソヌラ・トルロイデアなどという菌も報告されています。
この種の感染では、皮膚の一部をカセイカリ標本にしてみるとカビがみえるので、よく足白癬とまちがわれます。カセイカリ標本だけでは区別がつきにくいというべきでしょう。そこで、白癬菌に特異的に効く抗真菌剤を使って効果がないときには、これらの菌による病変も考えて、培養による確認が必要です。しかし、実際には診断を確定することはなかなかむずかしいものです。

接触皮膚炎をおこしたとき
一般にかぶれといわれる接触皮膚炎も、注意を要します。これは、なんらかの物質が皮膚につ気その物質にたいして皮膚が強い反応をおこした状態です。たとえば、ハゼの木にふれたためにおこる手や顔の皮膚炎、ネックレスや時計のバンドがふれる部分に一致しておこる皮膚炎などがその代表的な例ですし、化粧品による顔の皮膚炎などを経験された人も多いでしょう。このように、接触皮膚炎はなんらかの物質にふれた場所だけにおこるので、その症状から原因をある程度判断することもできます。
足の接触皮膚炎の原因と症状尼では足の指や足の底にみられる場合が多く、これは靴下や靴、サンダル、あるいは偶然ふれた床の塗料などが原因らしいことをあらわしています。足
の指のあいだにできるものは、なんらかの皮膚の変化があって、そこに軟膏などをつけた場合によくみられます。
足の指のあいだでは、赤くなってかゆくなるとともに、ひどいときには小さい水ぶくれやただれができます。こうした部分は皮膚が靴などに密着しやすいので、湿気がたまりやすく、これがかぶれをおこす引き金となりがちです。足の裏では、やはり赤く、かゆくなるとともに、小さい水ぶくれができたり、それがつぶれてただれる、などの症状がでます。

接触皮膚炎の検査と診断

接触皮膚炎という見当をつけ、さらに診断を確実にするためには、患者さんに症状がでる前後のことをくわしく思い出してもらい、きっかけとなった可能性のある物質をさかしださなくてはなりません。さらに、それを取り除いたあと、皮膚の変化かおさまってくるのを確かめることもたいせつです。そのうえで、もう一度同じ状態で皮膚炎か再発するかどうかをみれば、より確実になるでしょう。この、同じ状態をつくる場合、わざわざ同じことをくり返さなくても、簡単な貼布試験(パッチテスト)でできます。これは、原因と考えられる物質やその物質の成分を皮膚の上に48時間ほど貼りつけ、反応をみる方法です。
たとえば女性の顔に皮膚炎ができた場合、化粧品や洗浄剤が原因ではないかとまず考えます。患者さんには、これまでに使った化粧品や石けんについて、とくに最近新しく便いはじめたり別の品にかえたものはないかなどをくわしく思い出してもらいます。これは、患者さん以外にはまったくできないことで、患者さんの助けが必要です。
このとき、これまで便ってきたものだからと無視してしまうのはいけません。皮膚の状態によっては、そのような物質でも、ときにかぶれの原因になることがあるからです。また、使っている品は同じでも、スポンジですり込むようにしたために、症状か強くでたなどということもあります。
さまざまな皮膚炎に使った治療薬も油断はできません。はじめは別の原因による皮膚炎や感染症の症状だったものが、治療に使ったくすりの副作用によって、ちかった症状を示すようになっていることもあるからです。この場合は、その症状のちがいを見分ける皮膚科医の力も必要となるでしょう。
なんらかの原因によるかぶれが強く疑われるのに、その原因がまったくつかめない場合には、逆に患者さんがどんな物質に過敏に反応するかを調べ、それらの物質か身のまわりにないかどうか探す方法もあります。つまり、ふだん身のまわりで使われている物質の一定の濃度の試薬をつくっておき、それを使って患者さんに貼布試験を行うわけです。
このようなスクリーニングのための試薬は、たとえば身のまわりにあるありふれたものを「スタンダード・シリーズ」としてまとめたものや、「香料シリーズ」「金属シリーズ』な
どいくつかのシリーズがあります。そのなかから可能性の高いものを選んで貼布試験を行い、強い反応を示す物質か見つかれば、同じ物質をふくむ品が身近にないかどうか探すこ
とになります。
足白癬とかふれはよくまちがわれ、問題となりやすいもののひとつです。足の場合には、「新しい履き物にかえたあと、しぱらくして皮膚炎かできたのではないか」「足を洗うとき
に、それまでとちかった石けんや洗剤を使わなかったか」「新しくはじめたスポーツや趣味はないか」などをチェックします。また、なんらかの皮膚の変化があって、治療してもよくならず、かえって悪くなるなどという場合には、それまでに使った薬剤についてもすべて調べることになります。顔の皮膚炎について行うことと、基本的には同じなのです。接触皮膚炎と足白癬では、治療か正反対といってもよいぼどちがいます。したがって、この二つの病気を鑑別することは非常に重要なことです。

汗疱(かんぽう)ができたとき
足に汗を多くかいたときなど、表面をみると皮膚の上層に小さな水疱ができていたり、うすく輪状に皮がむけたりしていることがあります。これを汗疱といい、ときに軽いかゆみもあるとされています。足の指のあいだにできることが少ないのと、小水疱のサイズが足白癬のものより小さいのも特徴です。
手足に汗をかきやすいことがわかっていれば、カセイカリ鏡検法で白癬菌が見つからない場合、汗疱と診断されます。どちらかというと、若い人に多い病気です。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)になったとき
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、その名のとおり、小さな、膿をらつ水ぶくれをつくるのが特徴です。急激にはじまることが多く、はじめは小さな水ぶくれですが、すぐに黄白色の膿の色になり、古くなって乾くと褐色に、さらに皮がはげると一見小水悒型の足白癬そっくりの症状になります。金属アレルギーや扁桃炎などが原因となることらありますが、まったく原因がわからないこともしばしばです。
比較的年をとった人に多くみられ、さらに足白癬とちがって、病変は土ふまずを中心に左右対称にできることが多いのが特徴です。このため、臨床的には区別をつけやすいのですが、確定診断のためにはカセイカリ鏡検法が必須です。
この栖気の治療中、とくに副腎皮質ステロイド剤による治療を行ったときに、二次的に足白癬の感染がたまにみられることにも注意すべきです。病状が一進一退するのもこの病気の特徴ですが、数年から十数年のちには自然によくなります。

足白癬と似た病気はほかにも多い
以上のほかに、多形溶出性紅斑(たけいしんしゆつせいこうはん)や環状紅斑(かんじょうこうはん)とよばれる病気も、輪をつくることから、足白癬と区別する必要がときにおこる病気です。また、梅毒のとき、くすりなどによる中毒や内臓の悪性腫瘍などのときにできる足の裏の紅斑や角質増殖、さらにはボーエン病とよばれるごく表在性の皮膚がんなども、
ときに足白癬の鑑別の対象となり、それぞれ特殊な検査が必要となります。
このように、足にあらわれる皮膚病だけでもたくさんあります。それらを素人診断で治療すると、万一うまくいかなかったとき、正しい診断を得られるまでにたいへんな遠回りをさせられることになります。足の皮膚に変化がでたら、なる、べく早い時期に、そのままの状態で皮膚科医にみせてください。

皮膚科医にかかるときはどんな注意が必要か

見出しには「皮膚科医にかかるときの注意」としましたが、以下は、もしあなたがわたくしの外米にこられるとした場合の、わたくしからのお願いでもあります。たいへんかってなことばかりいうと思われたり、思いあがっていると思われるかもしれませんが、実際に現場にいる人間の声として間いていただきたいと思います。

前もって外来の診察時間や曜日を確かめておく皮膚科にかかる場合、外米の診察時間や診察医の診察の曜日などを確かめてください。すべての皮膚科医が、すべての曜日に外米の患者さんを診察しているとはかぎりません。病院や診療所にいないこともありますし、いたとしても、ほかの患者さんの手術や検査などで手が離せないかもしれません。
とくに複数の皮膚科医がいる総合病院などでは、曜日を決めて、分担して外米の診療をしていることがあります。場合によっては、外米は開いていても、
その分野の専門医がいないということもあります。それまで診療をうけていた医師の紹介状をもって専門の外米に行くときも同じです。たいていは、紹介医が受診するのに適当な日時や曜日などを教えてくれますが、いちおうは注意しておいたほうがよいと思います。
また受診の時間を決めて紹介された場合(つまり予約のとき)、予約時間よりも前に診察室に着くようにしてください。予約外米では、時間ごとに一人ずつ患者さんを予約しています。遅れていくと、次の患者さんがすでに診察室に入っていて、あとまわしになることもあります。同じ事情で、予約時間よりあまり早くいっても、結局は時間まで待たなければなりません。
最初の受診のときには紹介状などを忘れないようにし、また、そのときにのんでいるくすりがあれば、いっしょにもってきてもらいたいものです。

問診ではあらかじめ症状などを整理しておく診察は、まず問診といって、「患者さんがいちばん困っていること」「そのような状態がどのようにしておこったか」「どのような経過をたどっているか」を聞くことからはじまります。場合によっては、家族の構成や、そのなかで病気をもった人がいないかなど、あるいはこれまでの治療内容なども聞くことがあります。そこで、できれば、自分が現在問題としている症状や病気について、次の点をまとめておいていただきたいと思います。
①いつから、どんな症状ではじまったか
②いつから、どこの医師にかかったか、どんな治療をうけたか、どんなくすりをのんだか、あるいはのんでいるか
他科の医師などから処方されたくすりの内容はとくにだいじです。くすりによっては、相互作用のために効きめが悪くなったり、効きすぎたり、極端な場合には危険な副作用がでることもあります。主治医に中し出れば、処方されたくすりの内容を紹介状に書いてもらえます。
③症状はどのように動いているか、重くなっているか、重くなったり軽くなったりするか、その周期はどうか
④どんな症状が加わってきたか
⑤これまでにうけた検査の種類、たとえば会社などの健康診断などをうけていれば、その時期と場所

以上の点を手短にメモにでもしておくと、時間の節約になります。その場のとっさの会話では、重要なことをいい忘れるかもしれません。また記憶が十分でない場合、話しているうちに事の前後が逆になったりすることはよくあります。
診察室は一般に、外部との音の遮断が完全にはできていませヘプライベートで話しにくいことがあれば、そのことをはっきり医師に告げてください。場所や時間をかえて、プライバシーを守るようにしてもらえます。

着脱しやすい衣服で受診する
実際の診察にはいった場合、ときには患者さんが問題にしている部位以外のところも診せてもらう必変がでてくることがあります。衣服やストッキング、靴などは脱ぎやすいものにしてください。また、化粧やマニキュアは診察のじやまになることもあります。
診察をうけるからといって、特別からだをきれいにする必要はありませへふつうの入浴でけっこうです。とくに皮膚の病変の場合、上についているかさぶたなどをむりにはがしたりすると、逆に症状が悪化したり、所見がわかりにくくなることがあります。

わからないことはきちんと説明してもらう
診察が終わったら、病気の説明、検査や治療などの指示、くすりの内容やのみかたなど、わかりにくい点は遠慮なく医師にたずねましょう。とくにくすりののみかた、のむ回数や時間、外用剤の場合は使いかたと回数、日常のケア、次回の受診ロの確認などはだいじです。

転医するときは紹介状をもらう
なんらかの事情で転医する場合、新しい医師にたいする紹介状をもらうことも、問診や検査、あるいは投薬などで不必要な手間を避ける意味で重要です。遠慮なく紹介状を請求してください。

家族に説明してもらうときも、時間を決めてもらう
病気によっては、あるいは患者さんによっては、家族も医師の説明を聞きたいと思うことがあるでしょう。この場合も診察と同じに考えて、医師と話し合いのうえで、その時間を決めるようにしてください。話を聞きたい人が複数の場合、なるべくいっしょにしましょう。
医師に聞きたいことなどは、あらかじめメモにしておきましょう。そのほうが、医師も説明のポイントがはっきりして助かります。
 

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